間葉系幹細胞(MSCs)により半月板を再生させた我々の過去の研究にて、分泌される液性因子の重要性、由来細胞によるMSCsの軟骨再生能の差異等の知見を得た。しかしMSCsによる顎関節再生は良好な結果を得られなかった。近年、硬組織の再生能を示したエクソソームはMSCsから多く分泌され由来細胞により内容物が異なると半月板再生の知見と整合性があった。そこで、エクソソームの顎軟骨再生医療への応用を着想した。筋肉、脂肪、滑膜、骨髄からMSCsを単離し培養上清から各組織由来の細胞外微粒子を精製した。間葉系幹細胞と軟骨細胞に各細胞外微粒子を添加した群と、PBSを添加した群をコントロール群を比較した。CCK-8assayにより増殖能を、Trans well assayにより遊走能を評価し、軟骨分化能をペレットカルチャーにて評価した。続いてMSCs由来の細胞外微粒子の線維軟骨再生能の評価を行った。評価方法の確立しているマウス軟骨欠損モデルに対し、週一回のエクソソーム関節内注射した群を細胞外微粒子群、PBSを注射した群をコントロール群として術後3週における組織学的な検討を行った。軟骨細胞、間葉系幹細胞の増殖能は筋肉、脂肪、滑膜、骨髄由来の間葉系幹細胞の細胞外微粒子投与群のいずれにおいてもコントロール群に比較し有意に上昇(P<0.05)していた。各細胞外微粒子投与群間での有意な差は認めなかった。軟骨細胞の遊走能も同様に全ての細胞外微粒子投与群で有意に上昇(P<0.05)を認めたが、各細胞外微粒子投与群間での有意な差はなかった。一方、間葉系幹細胞の遊走能はControl群に比較し向上する傾向はあったが有意な差は認めなかった。軟骨分化能関しては細胞外微粒子による変化はなかった。マウス軟骨欠損モデルの組織学的評価においては細胞外微粒子群においてコントロールに比較し有意に向上していた。
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