研究課題
歯根膜を主体とした歯周組織の再生療法は、抜歯に至るような重度歯周炎に対しては適応が困難である。そこで本研究では、抜歯に至った歯を利用し、口腔外で新たに歯周組織を作製することを試みた。本研究ではまず、歯根膜由来マラッセ上皮細胞をエピジェネティクス薬剤の5-Azacytidine とバルプロ酸で1週間処理することで、幹細胞様前駆細胞を作製した。次いで、歯髄細胞を主体とし、幹細胞様前駆細胞と臍帯静脈内皮細胞を1週間共培養した(共培養群)。定量的PCR法では、Controlである歯髄単独培養群に比べ、共培養群において歯根膜関連遺伝子のMsx1、Msx2、Ncam1、PeriostinおよびS100A4、間葉系幹細胞関連遺伝子のCd29、Cd90およびCd105でのmRNA発現上昇傾向を認めた。これらの遺伝子のうち、CpG islandsが存在した歯根膜関連遺伝子のMsx1および間葉系幹細胞関連陽性遺伝子のCd29について定量的メチル化特異的PCR法を検討した。この結果、Msx1およびCd29は, Control群に比べ共培養群でのメチル化レベルの有意な低下を認めた。このことから、歯髄細胞と、幹細胞様前駆細胞、臍帯静脈内皮細胞の共培養群は、エピジェネティクス修飾によって歯根膜に類似した上皮間葉細胞集団へ誘導可能なことが示唆された。次いで、これらの細胞集団から細胞シートを作製し、抜去歯根面へ生着させた。その後、人工骨補填材ブロックへの結合を試みたが、結合について良好な結果が得られなかった。今後の更なる検討が必要である。
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Scientific Reports
巻: 11 ページ: 1852
10.1038/s41598-020-79426-4
http://www3.hoku-iryo-u.ac.jp/courses/2/013/index.html