研究課題/領域番号 |
18K17094
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
泉田 一賢 東北大学, 大学病院, 助教 (70803617)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | PJD / FHA / TiO2 / 成膜条件の確立 |
研究実績の概要 |
2019年度は、PJD法によるFHA成膜方法の確立を目的として、FHA粒子合成と至適成膜条件の検討を行った。硝酸カルシウム水溶液とリン酸水素アンモニウム水溶液よりACPを合成し、フッ化ナトリウム水溶液に投入することでFHA粒子を合成した。耐酸性評価を実施し、結晶精度とフッ素徐放性を有するFHA粒子合成に成功した。 FHA粒子の物理化学的特性は、組成分析、形態分析、化学分析(カルシウム、リン、フッ素濃度)、耐酸性評価を用いて検証した。これにより、至適フッ素イオン濃度は200ppmであることが明らかとなった。 続いて、このFHA粒子を用いてPJD装置による噴射条件の最適化を検討した。当初、噴射時にPJD装置のノズル内に粒子が目詰まりを起こし、円滑な噴射が困難であったが、マイクロスコープによる直接的なノズル内の観察と、コンピュータシミュレーションによる流体解析により、FHA粒子の表面形状を円形に近づけることで、目詰まりが解消され、問題なく噴射が可能になった。結果的に、以前のHA粒子噴射時と同様に噴射距離3mm、噴射角度90°、供給圧力0.5MPa、加速圧力0.5MPa、ノズル走査速度5mm/秒で、効率的に抜去歯平滑面に成膜可能であることが検証された。膜厚は約100マイクロメートルであり、サーマルサイクル試験前後、pHサイクル試験では膜厚に変化が認められないことから、FHA膜の高い口腔内安定性が確認された。 上記のFHA粒子ならびにFHA成膜と併行して、ACPにTiO2を配合したTiO2-HA成膜も実施し、こちらも同様に高い口腔内安定性、機械的特性が認められた。PJD法を応用した変色歯への応用を検討している。また、この結果は「Basic research for new tooth whitening applied the powder jet deposition.」として学術雑誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究調書に記載した通り、FHA粒子合成ならびにFHA成膜条件が確立したことで、当初の計画通りに進んでいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
臨床試験の実施に向けた準備(倫理申請等)を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度では基礎的研究を主目的に実施しており、これまで使用してきた装置、評価機器を用いて研究を実施してきたため次年度使用額が生じた。次年度以後に臨床試験を行う予定である。
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