本研究はイヌにおいて確立されているGBRモデルと結紮糸誘導インプラント周囲炎モデルを組み合わせることで、GBRを行なったインプラント周囲組織に対し炎症を惹起させると、使用した骨補填材によって炎症の影響に差があるか評価することを目的としている。 ビーグル犬6頭に対し、全身麻酔下で欠損スペースを設けるための下顎臼歯の抜歯をまず行った。抜歯窩の治癒後、4壁性の骨欠損を作製し、同部にボーンレベルインプラント(径3.8mm、長さ8mm)の埋入および骨補填材(自家骨、異種骨)を填入し縫合閉鎖した。骨欠損を作製せずに埋入した群を骨吸収を見るための対照群とした。抜糸時に異常所見は認めず、術後経過は良好であった。その後絹糸を結紮しインプラント周囲炎を惹起させ、一定期間経過後に標本採取を行い、非脱灰研磨切片を作製した。染色方法はトルイジンブルー染色を行った。非脱灰研磨切片にてインプラント体と骨の接触率、骨欠損面積・新生骨の面積の計測を行い解析した。組織学的な所見では、すべての群においてインプラント体上部周囲に骨吸収を認めた。異種骨群では僅かに残存顆粒を認めた。計測した各パラメーター間に統計学的に有意な差を認めなかった。そのため炎症の影響は補填材の違いは問わず、ほぼ同様であると考えられた。本研究結果に限っていえば、二次的な侵襲がなく採取量に制限のない異種骨が、GBR後のインプラント周囲炎を考慮すると有用であると思われる。本研究内容は日本歯周病学会で口演発表を行い、現在国際紙への論文投稿の準備を行なっている。
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