本研究の目的は、画像環境を実際にそこにあると感じさせるコンピューター技術であるバーチャルリアリティ(VR)技術により、ヘッドマウントディスプレイ内に内視鏡およびナビゲーション像を現出させるインプラント手術システムを開発し、インプラント手術の確実性、安全性を高めるとともに、手術習熟のための教育応用を目指すことである。また、本システムを構成する内視鏡、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、ナビゲーションシステムは、すでに単独で医療機器承認が得られており、研究期間内にHMD内に最適なVR画像を構築し、模型を使用しその精度を検証することにより、即時の臨床および教育への応用を目指す。研究の前半ではナビゲーション像と内視鏡像を組み合わせ、インプラント手術時に最適な画像をHMD内へ投影することを可能とした。さらに、顎骨の実際の症例のCT画像からPloPlanCMF(materiarize社)を用いシミュレーションを行い、3Dプリンターにて顎骨モデルを作製およびレジストレーションし、実際に手術室でのHMDを用いた内視鏡もしくはナビゲーションシステム補助VRインプラント模擬手術を行った。研究の後半から最終年度にかけては、その有用性に関して通常のモニター使用下での模擬手術と、HMDを用いた内視鏡もしくはナビゲーションシステム補助VRインプラント模擬手術を比較検討し、そのデータを基に学術論文の執筆を行なっている。模擬手術によってHMDを用いた内視鏡もしくはナビゲーションシステム補助VRインプラント手術は通常のモニター使用下での手術と比較しその有用性が示唆され、すでに日本口腔インプラント学会と日本顎顔面インプラント学会それぞれの学術集会で成果発表を行なった。コロナ禍でもあり研究期間は予定より延長したものの、現在日本顎顔面インプラント学会に論文を投稿中である。
|