研究実績の概要 |
純チタンおよびチタン合金の疲労特性は、これらをインプラント材料として臨床応用していくうえで考慮すべき重要なファクターであり、近年では臨床を想定した繰り返し荷重を用いた耐久性試験が行われている。2003年にはISOによって試験基準も定められた9)。しかし、現在のところこの試験基準を用いた疲労強度試験の報告は少なく、インプラントに対する表面処理が疲労強度に与える影響についても明らかになっていない。そこで本研究の目的は、インプラント材料に対する疲労試験の基準であるISO14801に則り、インプラント材料として用いられているチタン合金(Ti-6Al-4V合金、Ti-6Al-7Nb合金、Ti-Zr合金)の疲労強度と、それに与える表面処理の影響を明らかにすることである。 2019年度は2種純チタン,4種純チタンおよびチタン合金(Ti-6Al-4V,Ti-6Al-7Nb,Ti-Zr)の組織観察およびビッカース硬さ試験およびを行った。組織観察では、2種純チタン、4種純チタン,Ti-6Al-4V合金, Ti-6Al-7Nb合金において繰り返し荷重試験後の試料で、引張り側に亀裂が見られるものがあった。また、ビッカース硬さは2種純チタン,4種純チタン,Ti-6Al-4Vの引っ張り側において、試験前の試料(コントロール)と比較して有意差が認められ、わずかに大きな値を示した。 ビッカース硬さ試験の結果は、2種純チタン,4種純チタン,Ti-6Al-4Vに加工硬化が起こったことを示している。つまり加工硬化したことにより、塑性変形量が低下し、脆性が大きくなり、引張り側に亀裂が発生したと考えられる。
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