研究課題/領域番号 |
18K17116
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村上 和裕 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (60804490)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 舌圧 / 舌押し潰し / 生体計測 / 食品工学 |
研究実績の概要 |
当研究は、食品の器械的特性(物性)の異なるゼリーの摂取および嚥下を舌圧測定システムとビデオ嚥下造影を用いて記録し、食品物性が舌運動に及ぼす影響を評価することで、「食べやすさ」を客観的に評価することを目的としている。平成30年度上半期では健常者15名に対して4種類の異なる食品物性(破断荷重と破断歪をそれぞれ2段階に調整)を有するゼリーの舌押し潰し嚥下および咀嚼嚥下の生体計測を実施した。その後、計測によって得られた舌圧測定システムとビデオ嚥下造影の生データの解析を行った。下半期では得られたデータのうち、舌押し潰し1回目の舌圧と舌骨移動に関して解析を終了した。 解析の結果より、舌の押し潰し1回目では、舌圧が口蓋中央、口蓋前方、口蓋後方という順に特定のパターンで発現していること、舌圧発現と舌骨移動は時間的協調性があること、舌圧発現と舌骨移動は食品物性によって最大値や持続時間が増減することがわかった。これらをまとめると、舌押し潰しでは、舌表面だけが口蓋を押し付けているのではなく、舌全体やその下方にある舌骨上筋群や喉頭が全体的に挙上し、押し付けていると考えられる。 これまでの研究では、舌押し潰しでは嚥下関連筋である舌骨上筋が活動することがわかっていたが、そのメカニズムが不明であった。しかし、本研究の結果より、食品の摂取方法の一つである舌押し潰しのメカニズムが詳細に明らかになった。この知見は、「食べやすさ」の客観的評価を行う上で必要となる基礎であると考えられる。 本研究結果に関しては平成31年3月に、アメリカの嚥下障害関連の学会であるDysphagia Research Societyにてこの研究結果を報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定では、平成30年度では、ゼリーの咀嚼嚥下、舌押し潰し嚥下の生体計測および官能試験を行う予定であった。実際には、当初の被験者数の半分である15名の生体計測を完了させている。平成31年度においてもデータ収集の継続を行う予定であるが、生体計測のデータ分析も同時に行うことを考えると、進捗状況が遅れていると考えられる。しかしながら平成30年度下半期より、当初は予定していなかった計測データの分析も行っていることから、遅延は比較的軽微であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
計画に大きな遅れがないため、平成31年度も当初の計画を行う。平成31年度にはデータの収集の継続およびゼリーの咀嚼嚥下、舌押し潰し嚥下時の舌圧と舌骨移動の解析、舌圧と舌骨移動量等と官能試験結果に対する物性の影響の分析を行い、食べやすさに寄与するパラメータの算出を行う予定である。また、同時に現在英語論文1編を作成中であり、平成31年度に投稿する予定である。
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