研究課題
超高齢社会を迎えたわが国では、高齢者の摂食嚥下機能の低下による誤嚥が社会問題となっている。摂食嚥下機能の障害は、生活の質(QOL)の低下という観点からも、近年本障害に関する研究が幅広く展開されている。しかし,その多くが,摂食・嚥下障害を運動機能低下の観点から検討したものであり、感覚機能の観点から検討したものはほとんどみられない。そこで本研究では、口腔内知覚閾値の基準値を定め、定量的知覚検査を口腔器質評価の一つとして位置付けることを目的とする。また、口腔内の知覚と摂食嚥下機能の関連性を明らかにし、摂食・嚥下障害スクリーニングとして定量的知覚検査を用いるための科学的根拠を得ることを目的とした。今年度は、若年者および高齢者における口腔内知覚閾値の測定・基礎データ収集、高齢者における摂食嚥下機能と口腔内知覚閾値の関連性の検討を行った。20代~90代の各年代の知覚閾値の標準値を明らかにするために触覚検査・2点識別覚検査・温度覚検査実施した結果、舌の2点識別覚検査は80・90歳代が他の年代に比べて有意に閾値が高く、頬粘膜の触覚および温覚が80・90歳代が他の年代に比べて有意に閾値が高いことが明らかになった。このことから、口腔内知覚は部位特異的に加齢とともに悪化することを示唆された。このような若年者および高齢者における口腔内知覚閾値測定結果をまとめて今年度は論文投稿を行った。摂食嚥下機能と口腔機能の関連の結果については、現在データをまとめて論文作成準備を行っている。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Odontology
巻: - ページ: -
10.1007/s10266-021-00594-4.