研究課題/領域番号 |
18K17127
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
上村 江美 昭和大学, 歯学部, 助教 (00803214)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | デジタルデンティストリー |
研究実績の概要 |
i)デジタル顎機能運動測定システムの構築 申請者ら現有する口腔内スキャナーは局所の頬側面スキャンで全顎的な咬頭嵌合位の再現が可能であり,また現有するCADソフトウェアでは,デジタル記録した顎運動データを融合してバーチャル咬合器上で補綴装置をデザインする機能を有するが,現状では各工程で使用するデジタル機器が異なり,一貫されたワークフローではない.そこで口腔内スキャナーのみでデジタル顎運動測定が行えるシステムを考案した.すべての顎運動は歯牙接触に誘導され生じているという概念より光学印象データから起こりうる咬合接触運動を自動的に網羅することができ,さらに運動中を細かい単位でスキャンすれば物理的な機能咬合採得に匹敵するデジタル咬合採得を得ることができる.さらに口腔内スキャナーにてチェックバイト法のアルゴリズムを基に前方運動と側方運動時の各咬合接触状態をスキャンし,その記録データをCADソフトウェアにインポートし,バーチャル咬合器の顆路調節を行うシステムを構築した. ii)歯冠色測色・顔貌3次元画像の活用法 口腔内スキャナーで歯冠色の測定を行い,3次元画像撮影装置用いて患者の顔貌写真から3次元画像を取得し,デザインしたデータを3次元画像にとスーパーインポーズし,顔貌との調和を色調も含めて3次元で確認できるというシステムを追加した. iii)資料採得 上記の方法を用いて正常時の歯列並びに色調,顎運動までを含めた機能・形態データを口腔内スキャナーにて,3次元画像撮影装置で顔貌画像を採得し,データを蓄積している最中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データベース化できるよう,現在顎運動までを含めた機能・形態データを口腔内スキャナーにて,3次元画像撮影装置で顔貌画像を採得し,データを蓄積しているが,それらデータを基に補綴 装置のデザインを完全自動化できるようなシステムを開発までは至っていないため.
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今後の研究の推進方策 |
1)補綴 装置のデザインを完全自動化できるようなシステムを開発する.2)同一患者に光学印象データのみでデザインされた補綴装置と光学 印象に顎機能・色調・形態データを統合したデータでデザインされた補綴装置を製作し,そ れらの違いを比較検討する.3)CADソフトウェアを用い,顎機能・色調・形態データを統合した データでデザインと形態データのみを反映したデザインの2つを準備し,CAMによりジルコニアクラウン・ブリッジを製作する.4)完成した補綴装置の咬合接触と咬合調整量の比較 ①補綴装置の形態分析:上記により患者 1 名につき2つの補綴装置を製作するため,計 2 セ ットの完成補綴装置の STL データが得られることになる.得られたデータは3D 計測ソフトウェアにおいて,各補綴装置の形態の差分を定性的(カラーマッピング)・定量的(差分の数値化)に分析する. ②咬合調整量の分析:採得したすべてのデータから補綴装置を製作し,完成直後の補綴装置の形態と口腔内での調整が済んだ補綴装置の形態の差を調整量と定義する.調整前後の三次元的形態はマイクロ CT(現有)にて取得し,そこから得られたSTL データを前述の PolyWorks Inspector にて,削合量の可視化と分析を行なう.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究に必要で購入した機材が教職員特別価格で購入できたため,予定よりも少し余った. 翌年度は今年度の続きとして蓄積したデータを基に補綴装置のデザインを完全自動化できるようなシステムを開発する.また,光学印象データのみでデザインされた補綴装置と光学印象に顎機能・色調・形態データを統合したデータでデザインされた補綴装置を製作し,それらの違いを比較検討するために助成金を使用する計画である.
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