研究実績の概要 |
細胞内シグナル伝達因子のひとつでRhoファミリー低分子量Gタンパク質の1つCdc42はこれまで、Cdc42遺伝子を軟骨細胞特異的に欠損させたコンディショナルノックアウトマウスの研究から軟骨細胞の分化成熟にとって重要な因子であることが示唆されてきた。本年度は軟骨細胞内において、細胞外からの様々なシグナルがCdc42によってどのように細胞内へのシグナルに変換され、軟骨細胞の機能に影響を与えるか検討するために、肋軟骨から採取した初代軟骨培養細胞にCdc42の機能を阻害する阻害剤(Casin)を作用させた際の軟骨細胞内で変化する遺伝子の発現解析をマイクロアレイ(Clariom S;Affymetrix社)を用い解析をおこなった。その結果、酸化還元酵素シトクロムP450(Cytochrome P450) family4に属するCyp4a12aおよびb、アクチン細胞骨格に関与し細胞の形態に重要な役割を果たしていると考えられているtransgelin (Tagln)、代謝関連遺伝子群のマスター制御因子と考えられているKruppel-like factor 14 (Klf14)、繊維化に関与し、軟骨内骨化をはじめ骨芽細胞や破骨細胞の分化増殖に重要な役割を果たしていると考えられているConnective tissue growth factor (Ctgf, Ccn2とも知られている)などの遺伝子の発現が顕著に低下していた。
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