研究課題/領域番号 |
18K17129
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
酒井 克彦 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (40433958)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 脳卒中 / 摂食嚥下障害 / サルコペニア / 急性期 / 超音波 / MRI |
研究実績の概要 |
脳卒中急性期には摂食嚥下障害を高率に認めるため、その対応策が重要である。脳卒中急性期には麻痺や廃用以外にも脳卒中に関連したサルコペニアが生じるとされている。一方、最近の研究において嚥下関連筋群にもサルコペニアが生じ、摂食嚥下障害の一因となることが示唆されている。脳卒中後の摂食嚥下障害は神経生理学的な要因により起こることは明らかであるが、これに加えて嚥下関連筋群のサルコペニアが関与している可能性があると考えた。脳卒中に関連した骨格筋委縮が嚥下関連筋にも発生するかを検証した報告はなく、摂食嚥下障害との関連についても明らかになっていない。本研究では脳卒中急性期において嚥下関連筋群のサルコペニアが生じた結果、摂食嚥下障害の一因となっていることを検証して、包括的予防プログラムの構築を目指すことした。 本年度は2017年度に東京歯科大学市川総合病院の脳卒中センターに入院した脳卒中患者のMRI画像から、側頭筋の厚みを測定し側頭筋に萎縮を評価した。そして、急性期病院退院時の摂食嚥下機能をFOISで評価し、その関連性を検証した。その結果、側頭筋厚みは年齢と関連しており、高齢者ほど萎縮が進行していた。退院時の摂食嚥下機能との関連も認め、重度の摂食嚥下障害患者ほど側頭筋の萎縮が進行していた。また、側頭筋の委縮は年齢や脳卒中重症度とともに、脳卒中後の摂食嚥下障害の独立した予測因子に抽出された。これらの結果から、脳卒中後の摂食嚥下障害には神経生理学的な要因に加えて、筋委縮が関与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初超音波エコーを用いて嚥下関連筋の萎縮を経時的に評価する予定であった。しかし検査手技の確立に手間取り着手ができずに、研究計画に遅れが生じている。本年度はMRI画像を用いた後ろ向き研究を行い、脳卒中患者の筋委縮と摂食淵源機能の関連について検討した。
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今後の研究の推進方策 |
脳卒中発症患者の嚥下関連筋(舌およびオトガイ舌骨筋)の萎縮を、超音波エコーで評価する研究を立案し、現在倫理審査委員会に申請中である。本年度中に50症例での検討を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の遅れから脳卒中後の摂食嚥下障害と嚥下関連筋の筋委縮の関連についての前向き研究が施行できなかった。本年度はこれらの前向き研究を実行するとともに、神経金刺激装置を購入して、脳卒中後のサルコペニアによる嚥下障害の予防プログラム確立を目指す予定である。
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