研究課題/領域番号 |
18K17131
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
横山 愛 日本大学, 松戸歯学部, 専任講師 (70610252)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 唾液腺 / 分泌機能亢進因子 / BMP2 |
研究実績の概要 |
令和2年度は唾液分泌機能亢進因子の候補として、bone morphogenetic protein 2(BMP2)に焦点を当てBMP2の唾液腺に対する効果の検討をin vitroで行うための条件の決定を行った。 in vitroの実験として、野生型C57BL/6マウスの両側耳下腺を摘出し細胞単離処理を行い、耳下腺初代培養細胞を用いてBMP2タンパク質存在下で培養し、その効果の検討を行う。耳下腺初代培養細胞は長期間培養を続けると、上皮系の細胞から間葉系の細胞へ変化することがわかっている。従って、まずBMP2タンパク質を作用させる期間の検討を行った。耳下腺初代培養細胞をプレートに播種後、翌日に培地の交換とともにBMP2タンパク質を作用させ24時間後、48時間後で検討を行うこととした。100ng/mlと300ng/mlの2種類の濃度のBMP2タンパク質を作用させ24時間後、48時間後に耳下腺初代培養細胞に変化がないことを顕微鏡で確認した。同時に各タイムポイントで細胞増殖能を検討すると48時間で有意な差が確認できた。次に、BMP2タンパク質の至適濃度を検討を行った。作用させるBMP2タンパク質の濃度を1ng/ml、5ng/ml、10ng/ml、50ng/ml、100ng/ml、 200ng/ml、300ng/mlとし、48時間作用させると、50ng/ml以上の濃度でコントロールと比較して有意な差が観察されたことから、作用時間を48時間、作用濃度を100ng/mlという条件が実験条件として適しているという結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度が本来であれば、研究期間の最終年度であった。 新型コロナウイルス感染症の影響で、本年度始めから緊急事態宣言の発令により流通機能が低下したためマスクやグローブなどの入手が困難となり、研究に必要な試薬などの物品が届くのにも時間を要することが多く、計画通りに実験を進めることができなかった。また、在宅勤務期間中は計画していた実験ができなかったため、進歩状況をやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後も研究計画調書に従って進める予定である。 本年度に決定した条件で耳下腺初代培養細胞におけるBMP2の影響を検討する。細胞増殖能の検討に加え、アミラーゼ、AQP5、TMEM16Aなどの分泌関連タンパク質をイムノブロットで観察する。また、細胞膜を染色し、顕微鏡画像解析ソフトIMARISで立体構築し体積を比較する。 次に、in vivoでのBMP2の検討として野生型C57BL/6マウスで片側唾液腺傷害マウスと偽手術マウス(コントロール)を作製する。唾液腺傷害マウスに深麻酔科下で頬切開を施し萎縮した耳下腺を露出させBMP2タンパク質を注入する。傷害マウスにBMP2タンパク質を作用させたマウス、傷害マウス、コントロールマウスに唾液分泌を促進するピロカルピンを腹腔内投与し、唾液分泌量の比較を行う。また各マウスから耳下腺を摘出し、アミラーゼ活性を調べることにより唾液腺の機能についての検索も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、新型コロナウイルスの影響で在宅勤務の期間には実験が計画通りに進められなかったこと、抗体やグローブ、ピペットなどのプラスチック製品などのを発注しても、欠品や納品に時間がかかったことが挙げられる。今後の使用計画としては、研究計画書に従って購入する予定であった、実験動物や手術消耗品、プラスチック製品に使用する。
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