研究課題/領域番号 |
18K17136
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
新井 祐貴 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 助教 (70778654)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 歯科補綴学 / 歯槽骨再生 / RANKL / メカニカルストレス |
研究実績の概要 |
歯槽骨の吸収は,インプラントや義歯の予後不良因子となるため,歯槽骨再生やその維持が臨床において強く望まれている.研究代表者はこれまで,RANKL 結合ペプチドとBMP-2との局所への併用投与が歯槽骨に対して骨形成促進効果を示すこと,抜歯窩に対しては,抜歯後の骨欠損部を早期に骨で満たすことで,周囲の顎堤における骨吸収を抑制することを明らかにした.この副次的効果はメカニカルストレスの関与が推察されるが,歯牙を介した咬合によるメカニカルストレスが骨再生中の顎堤に形態的変化を及ぼすかどうかは明らかになっていない.そこで本研究は,歯槽骨欠損に対しRANKL結合ペプチドによる骨再生を行い,推定されるメカニカルストレスの分布パターンの変化が骨再生中の顎堤の形態に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.この研究計画では,骨再生に対するRANKL結合ペプチドと咬合を介したメカニカルストレスとの相互作用の検討を目的とし,歯槽骨再生部位の骨形成と骨吸収について形態学的に検討し,組織学的解析と生化学的解析を行うものである.本年度は,RANKL結合ペプチドを用いた歯槽骨増生マウスモデルの確立を行なった.シート状の材料を用いることでより造成骨の形態を均一にすることが可能となる.また,過剰咬合モデルの構築を行い,その後の歯槽骨の形態的変化を放射線学的手法によりデータを採得し,解析を行った.結果,μCTによる解析では,両群ともに上顎第一臼歯頬側の骨に新生骨が認められた.一方で,過剰咬合群では,咬合させない群に比べ,頬側にできた新生骨の骨量が有意に増加していた.今後はこれらのモデルを基に,RANKL結合ペプチドによる骨再生と過剰な咬合によるメカニカルストレスの相互作用を明らかにするため,さらなる組織学的解析や生化学的解析,有限要素解析によるメカニズムの解明を行っていく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験系の確立とともに予想された研究結果が得られているため.研究の進捗はおおむね順調である.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,さらなる解析を進め,それらの発表および論文投稿を目的としていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
生化学的解析を行わなかったため,費用のかかる試薬の使用の必要がなかったことが理由である.
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