研究課題/領域番号 |
18K17145
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
東山 亮 大阪大学, 歯学研究科, 招へい教員 (50781663)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 睡眠時ブラキシズム / 動物モデル / ウレタン / 咀嚼リズム |
研究実績の概要 |
本年度は、ウレタン麻酔を投与したモルモットにおいて、脳電図、眼電図、心電図、開閉口筋筋電図、鼻部呼吸気流を記録した。また、顎運動の記録には、下顎正中部にLEDターゲットを装着し、CCDカメラでLEDターゲットの位置を検出した。その上でウレタン麻酔下でこれらの生体信号を記録する実験系の確立と、睡眠時ブラキシズムのモデルとして活用可能な減少が出現するかどうか検討した。過去のマウスやラットの研究で報告されているように、ウレタン麻酔下では、脳波活動の振幅が高く、δ波成分が優位な期間と、振幅が低くθ波成分が高い期間の2種類に分類できた。実験を実施したほとんどの動物において、2種類の期間がある一定の時間で交互に出現するウルトラディアンリズム様の変化を示した。一部の動物では、ウルトラディアンリズムが明瞭で脳波の振幅が高い期間が長いままのことがあった。この脳波活動のウルトラディアン変化に伴って、心拍数や呼吸数が変化した。とくに、脳波が振幅が高い時期から低い時期に切り替わるところでは、呼吸リズムの変化が明瞭であった。ウレタン麻酔下では、下顎位が緩やかに変動する他、、脳波活動が変化することに伴って、時折、反復性で側方への下顎運動が発生した。この下顎運動は、閉口筋の活動が著明で、開口筋の活動は低いが、時折歯がこすれる音が発生した。以上のことから、本年度は、ウレタン麻酔下において、反復性の閉口筋活動を伴う歯ぎしり様の下顎運動が発生することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はウレタン麻酔で発生するウルトラディアンリズムの状態や、歯ぎしり様の顎運動が発生するかどうかを確認できたが、麻酔や記録条件の設定に時間を要した。また、同一動物で無麻酔下で記録する顎運動とウレタン麻酔下で記録した顎運動との比較実験を実施することができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
ウレタン麻酔下で発生する反復性の顎運動発生の生理学的特性を、脳波、心電図、呼吸、筋電図の解析をもとに定量的に明らかにし、顎運動の特性を詳細に解析する。また、ウルトラディアンリズムとの関連も同時に明らかにする。また、同一動物において、自然睡眠とウレタン麻酔の2条件での実験データを収集し、反復性の顎運動特性を比較する。また、可能であれば、脳内電気刺激を行い、発生する反復性の顎運動特性を修飾する領域を同定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
急性実験の実験系の確立を優先して実験を実施し、予定していた慢性実験記録との同時記録ができなかったため。
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