歯科インプラントにおけるインプラント体ーアバットメント間に存在するマイクロギャップの為害性は既知の事実であり、現在問題となっているインプラント周囲炎の発生関与している。 インプラント上部構造装着後の機能負荷開始からバットジョイントコネクションを有するインプラントシステムにおいては、ソーサライゼーションのようなマイクロギャップの影響と考えられる骨吸収が見られることから、機能負荷による応力の発生とマイクロギャップの離開は大きく関与していると考えられる。 本研究では、マイクロギャップが生じる因子をインプラントーアバットメントの連結機構及びインプラント上部構造装着後に付加される応力量に限定し、荷重負荷量の違いによるマイクロギャップの動態の変化について観察するという研究計画に基づいて実験を実施した。 静滑車によるインプラントーアバットメント連結体への荷重負荷装置を九州工業大学・坂井准教授と製作し、連結部 のマイクロギャップの動態を実体顕微鏡にて観察および記録した。 荷重負荷量の増大で、ギャップの離開量に変化が見られるが、ある一定の荷重量を超えた時点でマイクロギャップの離開量はプラトーに達することが示された。 また、マイクロギャップの観察が容易なバットジョイントのインプラント体について、インターナル・エクスターナルコネクションの2タイプについて荷重量の違いによるマイクロギャップ量の変化を観察し、コネクションの形状やタイプの違いによってマイクロギャップ量に大きな差があった。 最終年度では、インプラント体の径を変えた同様の実験を行い、レギュラー径のものと比べてワイド径のものがよりギャップ量が少くなくなることを特定した。この現象を説明するために、3次元有限要素法にてレギュラー、ワイド径のモデル作成を行い、内部応力の集中部位を観察し、プラットフォーム径およびスクリュー太さの影響を解明した。
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