研究課題/領域番号 |
18K17153
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
田中 謙光 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (00610049)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 間葉系骨芽細胞 / アパタイト / ヒアルロン酸 / 骨補填材 |
研究実績の概要 |
本研究の科研費(若手研究)の採択通知をもって、以前の研究にてアパタイトコートヒアルロン酸(ACH)が歯科診療に応用に可能なACHの適応としては適当であり、さらにMSCsの分子分泌能を強化する足場材料となりうると考えられる。本研究は、MSCsの足場となりうる骨補填材の開発を行うことを目的と、ACH上にMSCsを培養した報告はされておらず、培養した場合どのような活性を示すのかは不明である。本研究において、in vitro, in vivoにおいてMSCsとACHを組み合わせた骨再生について評価を行うこととした。 in vitroにおいて、ACH上にてMSCsの生体親和性を調べるために、培養24,48時間後にPI染色にて核染色を行い細胞増殖の評価を、アクチン染色にて細胞伸展の評価を行う。続いて、ラットの頭頂骨を用いたin vivoによるACHによる骨補填後の骨形成の検討を行う。 全身麻酔下にてラットの頭部に皮膚切開、骨膜切開を行い、骨膜下を剥離し、頭頂骨に穿孔を行い、出血を促し、ACHもしくはACH+MSCsをにて固定後、骨膜、皮膚を縫合する。対照群は何も留置せず、骨に穿孔のみをおこない、チタンキャップを留置し、縫合する。 4、8週目の骨形成状態をμCTにて骨形成状態の評価と、組織標本による骨形成状態の評価を行う。実験は対照群(Sham群)、実験群(ACH群、ACH+MSCs群)の三群に分け、治癒期間を4週、8週群(各群:10匹、計:30匹)とする。in vitroにおいて、蛍光顕微鏡にて各標本をランダムに5箇所ずつ観察し、細胞数、総面積を測定する。また、生体活性を調べるために培養4,7日目に、ALP活性を培養14日目にRealtime-PCR法を用いて、石灰化の分化マーカーであるrunx-2、オステリックス、タイプ1コラーゲン、オステオカルシンの m-RNAの発現を測定することした。培養24,48時間後にPI染色にて核染色を行い細胞増殖の評価を行い、ACH上での細胞増殖が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画では初年度は細胞実験における初期結果を得ることが一つの到達点であり、初年度において培養24,48時間後にPI染色にて核染色を行い細胞増殖の評価を行い、ACH上での細胞増殖がを確認できたことは満足いく結果といえる。しかしながら、最終的な段階としては、生体活性を調べるためのALP活性、m-RNAの発現の評価の定量化ができなかった。今回の初期研究での進展は、今後のアパタイトコートヒアルロン酸の応用への大きなステップを踏むことができたと考えられる。今年度は実験計画を改め、再度今後の研究に関して新たね視点での研究計画または評価が期待できるものである。
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今後の研究の推進方策 |
今回のin vitroにおいて、ACH上にてMSCsの細胞増殖の評価を行った。生体活性を調べるALP活性、m-RNAの発現の評価の定量化が行えなかったため、今後は実験方法を再考し、生体活性因子を抽出できるように検討する。また、コントロール群として、炭酸アパタイトにアパタイトをコーティングし、ACH同様にMSCsの生体活性を検討する。また、本研究においては、各々の in vitroの結果を随時、国内外の関連学会で発表を行うと共に、インプラント関連雑誌への投稿も並行して行う予定である。これらの報告で得られる他研究者からの意見、また査読員のコメントも今後の研究に反映させ、より臨床的意義の持つ研究に位置づけていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 当初計画より細胞実験に遅れがあり、物品費の使用が少なかったため、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 今後は、生体活性因子の定量化を向上し、動物実験も並行して実験を行っていく。
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