多血小板血漿Platelet-Rich Plasma(PRP)は自己の血液から調整される増殖因子(PDGF、TGF-β、VEGF、FGF等)を多量に含んだ血漿で骨再生、創傷治癒を促進させる効果がある。しかし、一方でPRPの効果は限定的で臨床的に安定しないという報告がある。その原因は従来の多血小板血漿(PRP)調整法で作製されたPRPは、増殖因子を放出していない状態の血小板(すなわち未活性の血小板)を多量に有していると考え、新規ダブルアクチベート法を考案した。本新規ダブルアクチべート法は既存のPRP調整法で調整済みのPRPに対して、食品の消毒およびノロウイルス・新型コロナウイルス等の殺菌で用いられる安全な酸化電位水システム(食塩水等の電気分解法で生成した次亜塩素酸水)で作製した酸性の酸化電位水を加えることで、PRP中の未活性の血小板を活性化させ増殖因子量を増加させる方法である。この方法によりPRPの作用を増強させ迅速かつ確実な歯槽骨再生を目指す。2018年から2020年度にかけては、血液採取の手順の最適化を行った後、従来のPRP調整法で作製されたPRPに酸化電位水に加え、PRP中の各種増殖因子量の変化をEnzyme-Linked Immuno Sorbent Assayを用いて測定し、至適酸化電位水量を調べた。また、新規アクチベート法と従来のPRP調整法を用いて、In vitroで細胞増殖および骨分化の比較検討を行った。2021年度は、In vitro評価の中でも特に本PRP作製の基盤知見となる酸化電位水の細胞毒性を詳細に調査した。
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