本研究は賦形性を付与できるDNAジェリー状スキャフォールドと歯根膜由来間葉系幹細胞シート併用における新しい歯周組織の再生療法を目指し研究を行った。これまでDNAジェリーを成形することは可能であったがそれをin vitro実験に使用するために加工することが困難であった。そこで申請者は培養皿にDNAジェリーを薄くコーティングし、さらに一定条件で紫外線を照射しDNAを架橋することで生体分解速度を調整することに成功した。そしてそのDNAジェリーを培養皿上で薄い膜状に成形しそこに骨芽細胞を播種し細胞活性を測ることに成功した。この結果を踏まえてDNAジェリー+骨芽細胞をα-MEMで5日間、10日間それぞれ培養した際の上清液を馴化培地として作製する。またDNAジェリーを骨芽細胞分化誘導培地(以下OIM)と5日間、10日間培養し馴化培地を作製する。そして以下の群でそれぞれの細胞活性を測定した。A群骨芽細胞+α-MEM、B群骨芽細胞+5日間馴化培地(α-MEM)、C群骨芽細胞+10日間馴化培地(α-MEM)、D群骨芽細胞+OIM、E群骨芽細胞+5日間馴化培地(OIM)、F群10日間馴化培地(OIM)。タイムポイントは1日、3日、10日とした。その結果、A群と比較してB群の方が3日目の時点で優位に細胞活性が高いことが分かった。OIMにおいてもD群と比較してE群の方が優位に細胞活性が高いことが分かった。これらの結果から、DNAジェリーを用いて作成した馴化培地の方が細胞活性が高いことからDNAジェリーが細胞活性を上昇させていることが示唆された。
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