研究課題/領域番号 |
18K17163
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松山 真理子 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (90738725)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | カップリング / カテプシン阻害 / イメージング |
研究実績の概要 |
顎骨壊死の治療法の開発には、骨リモデリングの詳細を明らかにする必要があるが、適切な実験系がないことが障害となっている。骨吸収抑制剤であるカテプシンK阻害剤、ビスフォスフォネートは骨代謝に与える影響が大きく異なる。本研究では、申請者の所属する研究室で確立した、骨リモデリングをin vitroにおいて細胞レベルで再現し、2光子励起顕微鏡を用いて解析可能な系を用いて、各種骨吸収抑制剤が骨リモデリングにおける細胞動態および基質量変化に及ぼす影響を解析することで、根底にある分子機構を明らかにし、骨リモデリングに対する理解を深めることを目的とする。 令和1年度は、平成30年度に行った、カテプシン阻害剤であるE64およびゾレドロネートを添加した骨リモデリング系の観察をさらに行うとともに、イメージングで得られる位置情報を加味した定量方法の検討を行った。具体的には、画像解析ソフトウエアIMARISにおいて画像を複数の領域に分割し、それぞれの領域における基質の増減を定量化することで、基質の吸収と再充填のカップリングについて検討を行った。阻害剤を入れないコントロール群では、基質吸収が生じた部分について解析すると、吸収量と形成量に一定の相関、すなわちカップリングがみられた。一方、E64添加群では、基質が減少した領域が少なく、吸収量と形成量の相関もほとんど見られなかった。このことから、カテプシンの阻害ではカップリングが大きく乱れていると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りに画像解析を更に進め、カテプシン阻害によるカップリングの乱れという治験を見出すことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
平成32年度:カップリング因子およびその阻害剤の影響:カップリング因子についての解析を行う。カップリング因子の例としては、破骨細胞から分泌されるカップリング因子であるとする報告があり、カテプシンK欠損マウスに見られる骨の表現型を発現する原因となるとする報告もあるS1P、およびカテプシンK阻害により基質内への蓄積が促進されるとする報告があるTGF-βおよびIGF-1などである。各種骨吸収抑制剤を加えた培養における共存培養中の濃度のELISAなどを用いた定量化、それぞれの因子に対する阻害剤天下による細胞動態の変化の観察などを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
骨吸収阻害薬によるカップリングへの影響を示す実験が当初の想定より順調に進行したため。 次年度使用額については動物の維持、細胞培養、ELISAキットの購入などに使用する予定。
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