研究課題/領域番号 |
18K17169
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
藤田 麻里子 岡山大学, 大学病院, 助教 (90714535)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ニボルマブ / 頭頚部癌 / Dynamic MRI / 免疫染色 |
研究実績の概要 |
本研究は、頭頚部領域の扁平上皮癌に対するニボルマブの奏効率をDynamic MRIでスクリーニングすることを目的としている。 研究内容は2018年度研究として、①:Dynamic MRIを撮像した扁平上皮癌患者のリスト作成・CIカーブの評価。2019年度研究として、②:腫瘍内のPD-L1の発現・微小血管密度の免疫染色による評価。および③:CIカーブ・PD-L1・ 微小血管密度、それぞれの相関を評価を行うこととしている。 2018年度は、頭頚部領域の扁平上皮癌を有する患者の中で、術前にSiemens社のMAGNETOM skyra 3TでDynamic MRIを撮像された患者を抽出した。その中から当院で切除術を受け、切除切片が保管されているものを対象とし、リストを作成した。結果的に21症例(T1:4例、T2:16例、T3:1例)を対象に検討していくこととなった。 同21症例を対象にDynamic MRIの画像上で、病変内部に関心領域をとり、関心領域内の信号強度であるCIを算出(CI = 造影後のSI - 造影前のSI / 造影前のSI)し、造影効果曲線 (CI curve)を描くことで造影剤の取り込み率における経時的変化の評価を行った。最大造影効果率(CI-gain)と最大造影効果(CI-Max)は全例において計測した。全例のCI-gainは平均0.97(0.34-2.59, SD:0.57) CI-Maxは平均1.45(0.56-3.09, SD:0.64)であった。また、造影剤の取り込みが最大となる時間であるTmax、CI-gainをCI-Maxで除したCI-gain/CI-Maxを計測した。結果はそれぞれTmaxが平均64s(29-135.1s, SD:27.2)、CI-gain/CI-Maxが平均65.93(36.60-100.73, SD:15.79)であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は①Dynamic MRIを撮像した扁平上皮癌患者のリスト作成・CIカーブの評価/②腫瘍内のPD-L1の発現・微小血管密度の免疫染色による評価/③CIカーブ・PD-L1・ 微小血管密度、それぞれの相関を評価/ のうち、①を遂行する予定となっていたが、リスト作成された21例全てにおいてCIカーブの評価がされ、CI-gain, CI-maxのみならず、検討できるあらゆる値をまとめた。 現在は研究②へと移行しており、その結果を踏まえ、研究③として今後は①の結果と比較することとしている。 当初の予定通りに計画は進展しており、順調な研究状況にあるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2019年は②腫瘍内のPD-L1の発現・微小血管密度の免疫染色による評価 ③CIカーブ・PD-L1・ 微小血管密度、それぞれの相関を評価 の研究を遂行する。 ②腫瘍内のPD-L1の発現・微小血管密度の免疫染色による評価 造影効果曲線を作成した患者の摘出切片をAnti-PD-L1 抗体, IHC 28-8 pharmDx, Anti-CD31 抗体 (ab28364) , Anti-VEGFA 抗体 (ab183100)抗体を用いて免疫染色を行う。各々の抗体のvalidationは他実験において検証済みである。PD-L1免疫染色においては染色強度を問わず80%以上の細胞膜が染色されている腫瘍細胞を陽性としてスコアリングする。また正常細胞、間質細胞、壊死腫瘍細胞は除外し、標本全体に対する陽性腫瘍細胞の割合をImage Jを用いて算出する。日本病理学会、厚生労働省「ニボルマブ製剤及びペムブロリズマブ製剤の最適使用推進ガイドライン」を参考に腫瘍組織中のPD-L1発現細胞の割合で以下のようにサンプルを分類しデータベースに登録する. またVEGF, CD31発現においても腫瘍組織内における陽性細胞の割合を算出しデータベースに登録する。(1.PD-L1発現1%以下 2.PD-L1発現1%以上 3.PD-L1発現5%以上 4.PD-L1発現10%以上) ②Dynamic MRIおよび免疫染色の結果に基づく統計学的検討 CI curveにおけるCI-gainならびにCI-Max値とPD-L1発現により行ったスコアリングとの相関関係をSPSSを用いて検討する。また本研究の根拠となる腫瘍内新生血管とCI-gainとの相関に関して腫瘍組織内CD31陽性細胞ならびにVEGF陽性細胞の割合とCI-gainの相関関係を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年購入のパソコン等の費用が予定よりも安価で購入できたこと。2018年の時点で大幅なデータ整理や論文作成にかかる費用などを購入するまでに至らなかったことから次年度に繰り越した。最終的に本研究で全額使用予定である。
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