研究実績の概要 |
近年の研究では長鎖非コードRNA (long non-coding RNA: lncRNA) の癌における発現異常及び癌の進展への関与が次々と示されている。一方で口腔癌におけるlncRNAの病的意義や分子生物学的機能は不明な部分が数多い。本研究では口腔扁平上皮癌 (Oral Squamous Cell Carcinoma: OSCC) で癌の進展に関与しうる lncRNAを同定し、その機能的・臨床的意義を明らかにすることで、診断・治療応用につなげることを目的とする。 3種類のOSCC細胞株(HSC-3、KON、Ca9-22)を用いてDLEU1ノックダウンにより発現変動する遺伝子をマイクロアレイにより解析した結果、3株に共通して変動する814遺伝子を同定した。Gene Ontology解析の結果、それらの遺伝子は細胞増殖、分化、運動に関与することが示された。またパスウェイ解析から、マトリックスプロテアーゼ、アポトーシス、細胞周期、MAPKシグナルなど癌の増殖、浸潤に関わるパスウェイに関わる遺伝子が多いことが示された。マイクロアレイの結果を定量RT-PCRで検証した結果、HAS3, CD44, BCL2L10, HOXD8, PRDM4, SMYD2, SETD6, KDM1Bなど、癌との関わりが知られる遺伝子がDLEU1ノックダウンにより発現低下することが確認された。またCDH1がDLEU1ノックダウンにより発現上昇することが確認された.
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