lncRNAの作用機序は大きく分けて転写因子等のscafoldとして機能する場合とmiRNAが本来標的とするmRNAのdecoyとして働き、そのmRNAの発現を間接的に制御するmiRNA スポンジとしての機能する場合に分けられる。本実験では口腔癌においてDLEU1は癌遺伝子として機能していると仮定していることから、DLEU1を標的とするmiRNAの探索を試みた。OSCC細胞株HSC-3でDLEU1の発現抑制により発現変動するmiRNAをTaman MicroRNA Array (765種類のmiRNA)で検証した。DLEU1発現抑制により発現上昇し(FC>2.0)、尚且つ2種類のmiRNA標的予測アルゴリズムでされたものを絞り込むと8種類のmiRNAが絞り込まれた。次に3種類のOSCC細胞株上で2種類のsiRNAを用いてDLEU1発現抑制を行い、上記8種類のmiRNAの発現をTaqMan Assayで検証した。候補miRNAの発現はCT値は40近くで非常に小さい発現量であり、整合性のあるデータを得ることができなかった。従ってDLEU1の作用機序はmiRNAを介したものではなく、転写因子等の機能性タンパクと相互作用する可能性が示唆され、今後さらなる研究が必要と思われた。
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