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2019 年度 実施状況報告書

三叉神経(痛覚特異的ニューロン群)のATPを介した炎症性疼痛の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K17179
研究機関神奈川歯科大学

研究代表者

黒田 英孝  神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 講師 (90755018)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード三叉神経 / 1次ニューロン / ATP受容体 / P2X7受容体 / Panx-1チャネル / P2X4受容体
研究実績の概要

痛みを伴う病態の多くは,炎症性疼痛に代表される侵害受容性疼痛である。その発生や調節機構の一つとして,ATPを介した細胞内・細胞間コミュニケーションが示唆されている.一次求心性神経(特に三叉神経系)におけるこれらの放出路やその分子実体についての詳細は未だ不明であり,ATPがどのような細胞間シグナル,また膜輸送機構を経て細胞外に放出されるかについては,結論付けられていない.本研究は,三叉神経系におけるATP受容体を介したこれらの細胞内・細胞間コミュニケーションの詳細について網羅的に検索することで,ATPを介した侵害受容機構を明らかにし,炎症性疼痛のメカニズムを解明することである.
炎症や細胞障害が起こると,細胞内から細胞外へATPが漏出される.この細胞外ATP( [ATP]o )は,細胞膜上に存在するATP受容体に結合する.ATP受容体にはイオンチャネル型であるP2X受容体と,Gタンパク共役型であるP2Y受容体に大別され,P2X受容体はさらに,1 - 7のサブタイプに細分される.なかでもP2X7受容体は高濃度 [ATP]oにより活性化することが知られている.
本研究において、高濃度 [ATP]oやBz-ATPに対して二相性内向き電流を示し,この内向き電流はP2X7受容体阻害薬で抑制されたことから,ラット三叉神経節細胞にはP2X7受容体が機能的発現を示すことが示唆された.Bz-ATP誘発性二相性内向き電流における2nd componentは、Panx-1チャネル阻害薬やATP分解酵素だけでなく,P2X4受容体阻害薬によって抑制された.以上のことから,三叉神経節細胞におけるP2X7受容体は,Panx-1チャネルとP2X4受容体を介したautocrineを示し,炎症や細胞障害の発生や調節に関与する可能性が示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は三叉神経におけるATPを介した細胞内もしくは細胞間コミュニケーションを明らかにすることで、炎症性疼痛のメカニズムを解明することである。本研究はこれまでに、三叉神経節細胞におけるP2X7受容体の自己調節機構にPanx-1チャネルやP2X4受容体が関与する可能性を明らかにした。

今後の研究の推進方策

本研究は三叉神経におけるATPを介した細胞内もしくは細胞間コミュニケーションを明らかにすることで、炎症性疼痛のメカニズムを解明することである。本研究はこれまでに、三叉神経節細胞におけるP2X7受容体の自己調節機構を明らかにした。今後は、この自己調節機構のさらなる解明と、P2X7受容体活性化のトリガーとなる要因について検索を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルス感染症の蔓延により、関連学会が紙上開催となったため、次年度使用額が生じた。当該助成金は翌年度に物品費に充当する計画である。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] その歯の痛み、説明できますか?2019

    • 著者名/発表者名
      黒田英孝.
    • 雑誌名

      DHstyle

      巻: 13 (11) ページ: 13-29

  • [学会発表] Mechanical stimulation-induced intercellular communication among trigeminal ganglion neurons.2020

    • 著者名/発表者名
      Tatsuhiko Yazaki, Sadao Ohyama, Wataru Ohfusa,Haruna Toda,Hidetaka Kuroda, Asuka Higashikawa, Maki Kimura, Yoshiyuki Shibukawa, Tatsuya Ichinohe.
    • 学会等名
      97th Annual Meeting of the Physiological Society of Japan
  • [学会発表] Impact of pannexin-1 channel to Bz-ATP induced inward current.2019

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Inoue, Hidetaka Kuroda, Noboru Ishikawa, Wataru Ofusa, Sadao Ohyama, sayoko Nagai, Satomi Kamata, Asuka Higashikawa, Maki Kimura, Yoshiyuki Shibukawa, Tatsuya Ichinohe.
    • 学会等名
      97th General session & exhibition of the IADR
    • 国際学会
  • [学会発表] 三叉神経節ニューロンにおける炎症と疼痛に関与するP2X受容体の生理学的特性.2019

    • 著者名/発表者名
      井上博之, 黒田英孝, 大山定男, 石崎元樹, 松永真由美, 矢崎龍彦, 東川明日香, 木村麻記, 澁川義幸, 一戸達也.
    • 学会等名
      第18回釧路ニューロサイエンスワークショップ
  • [学会発表] ラット扁平上皮癌細胞の機械感受性イオンチャネル.2019

    • 著者名/発表者名
      石崎元樹, 松永真由美, 矢崎龍彦, 井上博之, 戸田はる菜, 東川明日香, 木村麻記, 黒田英孝, 澁川義幸, 一戸達也.
    • 学会等名
      第18回釧路ニューロサイエンスワークショップ
  • [学会発表] 三叉神経節ニューロンにおけるPanexin-1チャネルを介したP2X7-P2X4受容体の機能連関.2019

    • 著者名/発表者名
      黒田英孝, 井上博之, 東川明日香, 木村麻記, 石川 昂, 城戸幹太, 半田俊之, 今泉うの, 澁川義幸, 一戸達也.
    • 学会等名
      第24回日本口腔顔面痛学会学術大会
  • [学会発表] 象牙質痛メカニズムの解析 in vivo study.2019

    • 著者名/発表者名
      大山定男, 人見涼露, 東川明日香, 大房航, 戸田はる菜, 黒田英孝, 木村麻記, 小野堅太郎,澁川義幸.
    • 学会等名
      第61回歯科基礎医学会学術大会
  • [学会発表] 三叉神経節ニューロンの機械刺激誘発性細胞間コミュニケーション.2019

    • 著者名/発表者名
      矢崎龍彦, 大山定男, 大房航, 戸田はる菜, 黒田英孝, 東川明日香, 大村麻記, 澁川義幸, 一戸達也.
    • 学会等名
      第61回歯科基礎医学会学術大会
  • [学会発表] ラット三叉神経節ニューロンにおけるP2×7受容体-pannexin-1チャネル-P2X4受容体相互作用の電気生理学的機能検索.2019

    • 著者名/発表者名
      井上博之, 黒田英孝, 石川昂, 大山定男, 東川明日香, 木村麻記, 澁川義幸, 一戸達也.
    • 学会等名
      第61回歯科基礎医学会学術大会
  • [学会発表] ラット三叉神経節ニューロンにおけるP2X 受容体と Pannexin 1 チャネルの機能連関.2019

    • 著者名/発表者名
      井上博之, 黒田英孝, 一戸達也.
    • 学会等名
      第47回日本歯科麻酔学会総会・学術集会
  • [学会発表] ラット三叉神経節ニューロンにおけるブラジキニンB1受容体の発現日齢および温度感受性の検索.2019

    • 著者名/発表者名
      寺島玲子, 黒田英孝, 川口 綾, 小島佑貴, 東川明日香, 井上博之, 石﨑元樹, 松永真由美, 一戸 達也.
    • 学会等名
      第47回日本歯科麻酔学会総会・学術集会
  • [備考] 神奈川歯科大学 大学院歯学研究科 全身管理医歯学講座

    • URL

      http://www.kdu.ac.jp/dental/outline/info/staff_grad_004.html

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公開日: 2021-01-27  

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