研究課題
筋・腱・骨で構成される運動器を1つの機能的単位として捉え、骨組織が腱と結合し、筋とともに動力機能を獲得するメカニズムの解明を進めてきた。研究を進める中で、軟骨や腱の形成で不可欠なSox9が、筋発生もコントロールしている可能性が出てきた。そこで研究の主軸を少し変更し、『Sox9は骨・腱だけでなく筋の発生も制御してるのではないか』ということを明らかにするために本研究を進めることにした。免疫組織化学的染色結果から、胎生初期の筋前駆細胞にSox9が発現していることがわかった。筋におけるSox9の発現を追究するために、Sox9CreER;tdTomatoマウスを作出し、Sox9陽性細胞の筋組織における細胞系譜解析をおこなった。その結果、胎生初期の筋前駆細胞にSox9が発現していることが確定的になった。また、筋細胞のcell lineであるC2C12においても、未分化な状態でSox9の発現を認めた。最後に、筋・腱・骨発生におけるSox9の機能を明らかにするためにWnt1Cre;Sox9floxed/+マウスを作出した。このマウスを解析したところ、筋・腱・骨組織の全てで低形成が認められた。したがって、Sox9が骨・腱だけでなく筋の発生も制御してることを示すことができた。すなわち、Sox9は運動器の形態形成をコントロールする共通の転写因子であることが明らかとなった。
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