運動器を構成する筋・腱・骨の形態形成をコントロールする共通因子はこれまで明らかにされてこなかった。そこで既知の転写因子であるSox9(SRY-box9)に着目し、頭部の運動器に焦点を当て、Sox9が筋・腱・軟骨の形成を統括するメカニズムの解明を試みた。in vivoならびにin vitroの実験から、筋においてSox9は筋芽細胞の時期にのみ発現することが明らかになった。一方、腱や軟骨の前駆細胞においてもSox9は発現するが、分化が進むと腱領域からは消失し、軟骨細胞にのみ発現が持続した。したがって、筋・腱・軟骨はSox9の発現を切り替えることで、運動器を形成していくことが明らかになった。
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