研究課題/領域番号 |
18K17187
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研究機関 | 東京都立多摩総合医療センター(臨床研究・教育研修センター(臨床研究部)) |
研究代表者 |
渡部 幸央 東京都立多摩総合医療センター(臨床研究・教育研修センター(臨床研究部)), 歯科口腔外科, 医員 (50733490)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 口腔がん / 腫瘍免疫 / 組織マイクロアレイ |
研究実績の概要 |
口腔がんは早期に根治治療をおこなっても再発や転移を来す場合があり、救済手術による摂食・嚥下障害や審美障害、化学療法の毒性によるQOLの低下が避けられない。近年。免疫チェックポイント阻害剤である抗PD1抗体ニボルマブが再発や転移を有する頭頸部癌に薬事承認されたことで免疫療法が脚光を浴びている。しかし免疫チェックポイント阻害剤は高額であり奏効率も低いため、適切な患者選択が重要である。治療前に臨床効果を予測するバイオマーカーの同定が臨床的にも医療経済的にも求められている。そこで口腔がん組織マイクロアレイを用いて免疫チェックポイント関連タンパク質を網羅的に解析し、患者ごとの免疫プロファイリングをおこなった。 まず患者毎のSystemic inflammatory responseを末梢血採血から算出した。そしてSystemic inflammatory responseと病理学的パラメーター、全生存との関連を統計学的に解析した。その結果、lymphocyte-to-monocyte ratio、prognostic nutritional indexが口腔がん患者の全生存との関連が認められ、口腔がんの予後予測因子となり得ることが示唆された。続いて組織マイクロアレイを用いて免疫チェックポイントタンパク質であるPD-1とCD関連抗体を網羅的に免疫染色し、免疫チェックポイントタンパク質と表現型マーカーのプロファイリングを試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定してい患者毎のSystemic inflammatory responseを末梢血採血から算出しlymphocyte-to-monocyte ratio、prognostic nutritional indexが口腔がん患者の予後予測因子となり得ることを明らかにした。また口腔癌組織マイクロアレイを用い、免疫チェックポイントタンパク質と表現型マーカーの免疫染色をおこないプロファイリングを現在おこなっている。免疫染色自体はすでに終了しているが表現型マーカーの評価およびプロファイリングに時間を要し、バイオマーカー候補となるタンパク質は抽出されていない。
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今後の研究の推進方策 |
組織マイクロアレイを用いた腫瘍部、間質に特異的に発現している表現型マーカーの評価およびプロファイリングを継続する。そしてバイオマーカー候補を抽出する。候補タンパク質が抽出されたら手術検体を用いて再現性試験を検討する。併せて患者毎のSystemic inflammatory responseとの関連性を評価する。そして臨床的意義については臨床病理学的パラメーターから考察し口腔がんに対する免疫治療の一助となるバイオマーカー候補を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
組織マイクロアレイを用いた免疫染色の評価に時間を要しており候補タンパク質の抽出には至っていないので次年度使用額が生じた。候補タンパク質が抽出され次第手術検体を用いた解析と機能評価を実施する。また学会発表、論文投稿の準備費とする。
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