口腔がんは早期に根治治療をおこなっても再発や転移を来す場合があり、救済手術による摂食・嚥下障害や審美障害、化学療法の毒性によるQOLの低下が避けられない。免疫チェックポイント阻害剤が再発や転移を有する口腔がん患者に使用されているが、奏効率は低いため、適切な患者選択が重要である。治療前に臨床効果を予測するバイオマーカーの同定が臨床的にも医療経済的にも求められている。そこで口腔がん組織マイクロアレイを用いて免疫関連タンパク質を網羅的に解析し、患者ごとの免疫プロファイリングをおこない生命予後との関連を調査した。 まず口腔がんのがん免疫と生命予後との関連について調査するために、患者毎のSystemic inflammatory responseを末梢血採血から算出した。そしてSystemic inflammatory responseと病理学的パラメーター、全生存との関連を統計学的に解析した。その結果、lymphocyte-to-monocyte ratio、prognostic nutritional indexが口腔がん患者の全生存との関連が認められ、口腔がんの予後予測因子となり得ることが示唆された。 続いて口腔がん患者の組織マイクロアレイによる免疫プロファイリングを実施した。CD3,CD4、CD8、CD10、CD20、CD45、CD57、CD68 、CD141、CD163 、FOXp3mの免疫染色をおこない、HALO AIを応用しそれぞれの陽性細胞数の定量化をおこなった。さらに末梢血データから算出したSystemic inflammatory responseとしてNLR、PLR、LMR、PNIを患者毎に測定した。以上の免疫プロファイリングを使用しAI予測ソフトウェアを用いてがん免疫に関与する口腔がん予後予測モデルを作成した。
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