研究実績の概要 |
研究の意義:下歯槽神経は、歯科臨床において最も損傷される可能性が高い神経の1つである。下歯槽神経の走行やその状態を正確に評価することは、下歯槽神経障害の診断やその治療効果判定のために重要であり、MRIにより非侵襲的に下歯槽神経の病態および形態を評価することを目的とした。健常者の下歯槽神経の走行や状態をMRIにて評価する基礎的研究は成果をあげており、今後その手法を下歯槽神経支配領域に神経障害を有する患者に適応し、下歯槽神経障害を客観的・定量的に評価する。
現在の状況:研究者の施設異動があり、異動先施設のMRI装置上の問題によりその解決に予想以上の時間がかかることが判明したため、研究内容を一部変更した。また新型コロナウイルス感染症影響でボランティアの撮像が不可能となり、実験用のファントムを使用した撮像に変更となった。 診療放射線技師の協力のもと、実験用のファントムを作成し、当院のMRI装置で可能な頭頸部における脂肪抑制法を検討した。頭頸部では歯科金属の影響を受けることが多いため、歯科補綴物を封入したファントムを使用しアーチファクトの影響も考慮した。その結果、上位からSTIR, IDEAL, CHESSであったが、統計学的な有意差を認めなかった。 画像評価には視覚評価以外にもピクセルシフト法を使用し、視覚評価と同様の結果が得られるかを検討した。その結果、ピクセルシフト法は頭頸部の脂肪抑制の評価にも使用可能であることが判明した。
|