研究課題/領域番号 |
18K17209
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
井出 良治 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (10638084)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 関連痛 / 篩状神経節 / ナトリウムチャネル / パッチクランプ法 / 三叉神経節 |
研究実績の概要 |
近年、心疾患や肺癌など、内臓疾患の痛みが迷走神経を介して中枢に伝わり顎顔面口腔領域に関連痛を起こす可能性が指摘されている。しかし、現在までその詳細な機序は未だ不明である。本研究は、蛍光トレーサーを用いて乳幼仔ラットのnodose ganglion(NG)(迷走神経節の1つ)から心臓由来の一次知覚neuronを検出する新規技術を基盤とし、Fluoro-Gold (FG) を内臓(心臓・肺・腸管)に、DiC18(DiI)を三叉神経領域にinjectionする。内臓知覚neuron(一部)と顎顔面口腔知覚neuronの中枢枝はそれぞれnodose ganglionとtrigeminal ganglion(三叉神経節)を介して脳幹に投射する、末梢枝から神経節を経て軸索輸送されるFGとDiIを脳幹レベルで組織学的に検出し、本研究により、内臓痛が三叉神経領域に関連痛として現れる機序の解明を目的とする。 現在までに新生児ラットNGニューロン対し、ホールセルパッチクランプ法を用いて、痛みの伝導に関与されていると考えられるテトロドトキシン抵抗性(TTX-R)電位依存性ナトリウム電流(INaR)を測定し、一般的に鎮静薬とし用いられるナトリウムチャネルブロッカーであるデキサメデトミジン投与によるINaRの抑制(IC50=128 μM)を確認した。 今後、この結果を基に、心筋に逆行性神経トレーサーを注入し、逆行性に標識されたNGニューロンを対象とした電気性理学的解析(ホールセルパッチクランプ法)を行いその特性を解明する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新生児ラット篩状神経節ニューロンに対し、ホールセルパッチクランプ法を用いてテトロドトキシン抵抗性(TTX-R)電位依存性ナトリウム電流(INaR)を測定し、一般的に鎮静薬とし用いられるナトリウムチャネルブロッカーであるデキサメデトミジン投与によるINaRの抑制(IC50=128 μM)を確認した。 しかし、平成30年度に予定していた、三叉神経領域と心室壁、腸管、肺に逆行性とレーサーを注入して、それぞれに二重標識された一次知覚神経終末が脳幹部(主に延髄部)にどのように分布し、重なるのか、組織学的に評価するために、新生児ラット脳幹の透明化を行なう予定でいたが、未だ脳幹の完全な透明化には至らず組織学的評価にいたっていない為。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は平成30年度に確立することができなかった新生児ラットの脳幹の透明化を確立する。それと平行して平成30年度中に得られた結果を基に電気性理学的解析の詳細な検討を行なう。具体的には前年度までは単離・培養した全て篩状神経節ニューロンを対象としてホールセルパッチクランプを行なったが、心筋へ逆行性神経とレーサー注入し逆行性に標識された篩状神経節ニューロンを対象とした電気性理学的解析(ホールセルパッチクランプ法)を行いその特性を解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度当初計画で新生児ラット脳幹の透明化を行いさらに抹消からの逆行性標識を同の組織学的観察を行なう予定であったが現在に至るまで完全な脳幹の透明化には至っていない、その為逆行性のトレーサー及び免疫染色を行なう予定であったが実効できず、物品(逆行性神経トレーサー・免疫組織化学抗体)の購入を見送った為。次年度中に脳の透明化を確立し、同物品を購入する予定である。
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