近年、心疾患や肺癌など、内臓疾患の痛みが迷走神経を介して中枢に伝わり顎顔面口腔領域に関連痛を起こす可能性が指摘されている。しかし、現在までその詳細な機序は未だ不明である。本研究は、蛍光トレーサーを用いて乳幼仔ラットのnodose ganglion(NG)(迷走神経節の1つ)から心臓由来の一次知覚neuronを検出する新規技術を基盤とし、Fluoro-Gold (FG) を内臓(心臓・肺・腸管)に、DiC18(DiI)を三叉神経領域にinjectionする。内臓知覚neuron(一部)と顎顔面口腔知覚neuronの中枢枝はそれぞれnodose ganglionとtrigeminal ganglion(三叉神経節)を介して脳幹に投射する、末梢枝から神経節を経て軸索輸送されるFGとDiIを脳幹レベルで組織学的に検出し、本研究により、内臓痛が三叉神経領域に関連痛として現れる機序の解明を目的とする。 現在までに新生児ラットNGニューロン対し、ホールセルパッチクランプ法を用いて、痛みの伝導に関与されていると考えられるテトロドトキシン抵抗性(TTXR)電位依存性ナトリウム電流(INaR)を測定し、一般的に鎮静薬とし用いられるナトリウムチャネルブロッカーであるデキサメデトミジン投与によるINaRの抑制(IC50=128 μM)を確認した。 今後、この結果を基に、心筋に逆行性神経トレーサーを注入し、逆行性に標識されたNGニューロンを対象とした電気性理学的解析(ホールセルパッチクランプ法)を行いその特性を解明する。
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