分化誘導環境を再生を目指す組織・臓器自体に求めることで分化誘導が可能ではないかという仮説の下、目的臓器の凍結切片上でiPS細胞を培養し分化誘導をこころみた。iPS細胞を肝臓、脳、脊髄の凍結切片上で9日間培養した。肝臓の切片上で培養されたiPS細胞は肝細胞様形態を呈したのに対し、脳と脊髄の切片上で培養したのは神経細胞様形態を呈した。肝臓の切片上で培養したiPS細胞の肝細胞マーカー陽性細胞率は脳や脊髄のと比較して高かった。これに対し、脳と脊髄の切片上で培養したiPS細胞は神経細胞マーカー陽性細胞率が高かった。 このことより、凍結切片中のなんらかの因子がiPS細胞を分化誘導できることが示唆された。
|