昨年度に引き続き、トラマドール静脈内投与の安全性および至適用量・用法を検討する探索的研究を行った(jRCTs031190108)。トラマドール静脈内投与の投与量および投与速度をA群(1.0mg/kg、緩徐投与)、B群(1.0mg/kg、急速投与)、C群(1.5mg/kg、緩徐投与)、D群(1.5mg/kg、急速投与)、E群(2.0mg/kg、緩徐投与)、F群(2.0mg/kg、急速投与)、各群6名とした(緩徐投与:30分間、急速投与:2分間)。主要評価項目は各群での悪心・嘔吐の発現率で、副次評価項目は、悪心・嘔吐の発現・消失時期とその程度、その他の副作用の内容とその程度、Stanford sleepiness scale、observer assessment of alertness / sedation scale、digit symbol substitution test、timed up & go test、重心動揺検査、バイタルサインとした。 その結果、悪心発現率(%)はA群:0、B群:50、C群:67、D群:67、E群:67、F群:100であった。嘔吐するものはいなかった。悪心の程度は、Numeric Rating ScaleにてA群:0、B群:1.7±1.9、C群:2.3±2.7、D群:2.7±2.1、E群:1.2±1.1、F群:4.8±1.8と、緩徐投与群で低い値を示す傾向にあった。また、悪心の持続時間(分)はA群:0、B群:2.3±3.2、C群:5.8±9.9、D群:6.3±4.9、E群:10.7±9.8、F群:17.2±10.5と投与量の増加によって増加傾向にあった。その他の副作用も出現したがいずれも一過性であった。 トラマドール静脈内投与は大きな副作用を生じず安全であり、さらに、緩徐投与することで副作用の出現率やその程度が軽減されることが示唆された。
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