研究課題/領域番号 |
18K17212
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
吉岡 基子 愛知学院大学, 歯学部, 招へい教員 (00612003)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 再生医療 / 口蓋裂 / 炭酸アパタイト / 骨再生 / 人工骨移植 |
研究実績の概要 |
現在顎裂部骨欠損における骨再建は、犬歯萌出期に行う自家骨移植術が主流である。自家骨移植に用いる骨は腸骨や脛骨から採取することが一般的であり、小児にとって採取部位への侵襲は大きい。したがって、二次的な侵襲を軽減する治療法の開発は急務である。そこで人工材料である炭酸アパタイトが自家骨の代替移植材料として可能か否かを検討すべく、ラット口蓋裂を用いた移植実験を行い、組織学的および放射線学的評価を行った。 第一の実験として、顎裂部骨移植術の主たる手術方法と同様に、ラット口蓋裂部へ自家砕片骨を移植し骨新生の可否の検討を行った。その結果骨新生を組織学的、放射線学的に確認した。 第二の実験として、人工材料である炭酸アパタイト(サイトランスグラニュール;GC)を同部に移植し、骨新生の可否を組織学的および放射線学的に解析した結果、CT画像上および組織切片上で骨新生を確認した。 CT解析は移植後4、8、12、16週で行い、撮影にはCosmo Scan GXを使用した。 組織学的評価は、移植後12週と16週で屠殺し、組織切片を作成した。染色は、H-E染色、Trap-ALP染色、ビラヌエバ染色を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラット口蓋裂に骨移植を行った段階でラットがもたないということが当初はあったが、手技が安定してきたため、順調にその後の検討を進められるようになった。 実験計画立案の段階では、人工骨に糊の役割として成長因子や幹細胞等を取り入れることも検討したが、腸骨移植に代わる治療法として早急に臨床に取り入れることを最終目標としているため、先に炭酸アパタイトのみの効果について検討した。成長因子や幹細胞に関しては現在検討を行っているところである。
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今後の研究の推進方策 |
人工材料である炭酸アパタイトが自家骨の代替移植材料として可能か否かを検討すべく、引き続きラット口蓋裂を用いた移植実験を行う。 CTを用いた放射線学的評価では今後新生骨の体積、密度について統計学的に解析を行う。これまでの実験では、炭酸アパタイトのみの移植において新生骨を確認できたため、今後は炭酸アパタイトにヒト歯髄細胞を混和したものの骨形成について評価を行い、炭酸アパタイトのみの骨形成との差について検討を行う。同時に歯髄細胞と炭酸アパタイトの関連性について生化学的評価も同時進行にて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
炭酸アパタイトのみをラット口蓋裂部に移植した場合、同部に骨新生が生じることが判明し、次の段階として炭酸アパタイトのヒト歯髄細胞を混和して移植した場合の骨新生がどう展開されるかを検討する段階となった。 ヒト歯髄細胞を使用するにあたり、ヌードラットを購入するために次年度使用額が生じた。
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