研究課題
現在、顎裂部骨移植におけろ骨再建は、犬歯萌出期に行う自家骨移植が主流である。自家骨移植に用いる骨は腸骨や脛骨から採取することが一般的であり、特に小児にとってその外科的侵襲は大きい。したがって、二次的な侵襲を軽減する治療法の開発は急務である。そこで人工材料である炭酸アパタイトが自家骨の代替移植材料として可能か否かを検討すべく、ラット口蓋裂を用いた移植実験を行い、組織学的および放射線学的評価を行った。放射線学的評価はCT撮影にて行い、移植前と移植後4、8、12、16週で行った。移植後のCT撮影で新生骨の体積・密度について解析を行った結果、母骨と移植材料のCT値が近接しており、区別が困難であり正確な数値を求めることができない可能性が高いことが判明した。そのため、新生骨の評価方法は組織学的評価が主体となった。移植後12週と16週でラットを屠殺、組織切片を作製し、H-E染色、TRAP染色及びALP染色を行った。破骨細胞数と骨芽細胞数をカウントし、骨代謝の生じる時期について検討した。移植後12週よりも16週時において破骨細胞数及び骨芽細胞数が有意に多く存在していることが確認され、骨のりモデリングは移植後緩やかに行われると考察できた。これは移植床の母骨を吸収しすぎず、マイルドな骨代謝を期待することができ、顎裂部骨欠損部へ炭酸アパタイトの移植は有効であると考察する。現在は炭酸アパタイトに、ヒト歯髄細胞を混和し、骨形成評価を行っている。適正な細胞混和比を比較検討中である。
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