口腔癌において治療後再発の制御は予後の改善のために重要で、申請者はこれまでに治療により腫瘍内へ誘導されたCD11bを発現する骨髄細胞がM2マクロファー ジ(M2Mφs)へ分化し,再発に貢献することを見出した.M2Mφsは培養系では血管新生などの様々な腫瘍促進性を有することが報告され,治療の標的として注目されているが,複雑ながん微小環境におけるM2Mφsの役割や作用機序には不明な点が多い.特に再発に関わる役割はほとんど分かっていない.そこで本研究では がん本来の微小環境を再現する目的で,がんオルガノイド培養の確立を試み,その中で口腔癌再発に関わるM2Mφsの多様な役割の解明を目的とした.本年度はヒト口腔扁平上皮癌細胞株のOSC-19細胞と,生検や手術で得たPatient-derived cell (PD cell)による2種類の口腔癌オルガノイドの作製を行った.まずはOSC-19細胞株を用いてオルガノイドの作製を試みるため、OSC-19細胞に血管内皮細胞,間質系幹細胞を添加した懸濁液を専用の小型ディンプルプレートで三次元培養を行った.詳細な条件検討を行い培養方法を確立した後,細胞増殖,血管新生,薬剤耐性(シスプラチン,ドセタキセル,セツキシマブなど),放射線感受性などを検討した.薬剤耐性はある程度の結果を得られている.放射線感受性や血管新生に対しては、条件の設定がかなり困難であるが結果が得られ始めている.
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