研究課題
今回の研究では、口腔がん細胞を用いて放射線や抗がん剤と核外輸送タンパク阻害剤の併用により感受性に相乗効果が生まれるか否か、またアポトーシス誘導などに関して分子生物学的視点からの検討を行うことを目的としている。先ず、今回の研究を行う上で、核外輸送タンパク(exportin 1)阻害薬の細胞処理時間、処理濃度の決定を行うことから開始した。核外輸送タンパク阻害薬単独での細胞毒性が大きく、研究に用いる処理時間・濃度決定に時間を要したが、処理時間が3~6時間程度で、1/1000mM以下であれば細胞毒性を低く抑えることがで来て、研究に用いることが出来ると考えられた。また、上記の核外輸送タンパク阻害薬の処理時間および濃度にて、放射線照射単独に比べ放射線照射に核外輸送タンパク阻害薬を併用することにより、殺細胞効果において相乗効果が得られる可能性が示唆された。現在、温熱処理および抗悪性腫瘍薬処理において核外輸送タンパク阻害薬を併用することで相乗効果が得られるか否かを検討中である。その他、放射線照射、温熱処理、5-FU処理にて生じたDNA損傷修復にどのような修復酵素が関与しているのか検討を行った。放射線照射では、NHEJおよびHR修復経路に関わるタンパクがDNA二本鎖切断の修復に関与しているのに対し、温熱処理や5-FU処理では、HR修復経路に関わるタンパクが中心的にDNA修復に関与していることが考えられた。
2: おおむね順調に進展している
当初、核外輸送タンパク阻害薬単独での細胞毒性が予想より大きく、核外輸送タンパク阻害薬の細胞処理時間や細胞処理濃度の決定に時間を要した。処理時間を短縮させていき、処理時間が3~6時間程度で、1/1000mM以下であれば細胞毒性を抑えられ、放射線照射により相乗効果が得られる可能性が示唆され、当初の計画通り研究を進めていくことが可能と考える。
抗悪性腫瘍薬処理や放射線照射を単独で行った場合と核外輸送タンパク阻害薬併用時のDNA二本鎖損傷量の変化の検討を行っていく。また、アポトーシス誘導が効率的に行われているのか、免疫組織染色やフローサイトメトリ―を用いて検討を行っていく予定である。
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International Journal of Hyperthermia
巻: 34 ページ: 795-801
Thermal Medicine
巻: 34 ページ: 15-22
http://doi.org/10.3191/thermalmed.34.15
http://nara-oms.com