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2020 年度 実施状況報告書

核-細胞間輸送に関与する受容体を標的とした口腔がん治療の基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K17234
研究機関奈良県立医科大学

研究代表者

仲川 洋介  奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (00714875)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワードexportin1 / 核外輸送タンパク / EXPO1阻害
研究実績の概要

核外輸送タンパクであるexportin1=XPO1/CRM1は、がん抑制遺伝子産物を核内から核外に輸送することでそれらの機能を減弱させ、その結果としてがん細胞の増殖に寄与していると考えられている。本研究では、EXPO1阻害剤と放射線照射や抗がん薬との併用による殺細胞効果の有無や、がん細胞の増殖抑制や促進遺伝子の発現に変化を認めるか分子生物学的視点からの検討を行うことを目的としている。
口腔がん細胞を用いて、殺細胞効果を検討するために細胞生存率をコロニー形成法にて比較検討を行った。放射線単独4Gy照射時で約40%、6Gy照射時では約15%であったが、EXPO1阻害剤併用で放射線4Gy照射時には約20%、6Gy照射時には約5%であり、EXPO1阻害剤併用で増感効果を認めた。また、5-FU(10μM)単独作用時とEXPO1阻害剤併用時を比較すると、5-FU単独時は80%であったがEXPO1阻害剤併用時は約60%とであり著明な増感効果が得られた。
次に、Hoechst染色にてアポトーシス誘導に関して検討を行った。放射線および5-FU単独作用時と比較しEXPO1阻害剤併用時には、アポトーシスの増加を認めた。
DNA 損傷量に関してH2AXのリン酸化をDNA二本鎖切断の指標として免疫染色を行ったところ、放射線および5-FU単独作用時と比較しEXPO1阻害剤併用時に著明なDNA二本鎖切断を認めた。
放射線および5-FU単独作用時と比較しEXPO1阻害剤併用によりDNA二本鎖切断が増加し、効率的なアポトーシスが誘導され殺細胞効果に増感がもたらされると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究により、EXPO1阻害剤と放射線照射や抗がん薬との併用による殺細胞効果の有無や、増感メカニズムの概要に関しては明らかとなってきている。
しかしながら、核外輸送タンパクの阻害によるがん細胞増殖抑制や促進に関わる遺伝子の発現に変化を認めるか否かの分子生物学的視点からの検討は現在進行中であり解明に至っていないため。

今後の研究の推進方策

核外輸送タンパクの阻害によるがん細胞増殖抑制や促進に関わる遺伝子の発現変化に関して、ウエスタンブロットやPCRを用いて解明を進めたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

COVID-19感染拡大の影響により、参加を予定していた国内および国際学会が中止され、ポスター作製などの準備費や旅費等に当初予定より減額が生じた。抗体などの海外からの輸入品に関しては、一部納品の見通しが立たないものもあり購入を見送らざるおえないものもあった。これらの理由により、次年度への繰越金が生じた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Inhibition of the ATR kinase enhances 5-FU sensitivity independently of nonhomologous endjoining and homologous recombination repair pathways.2020

    • 著者名/発表者名
      Ito SS, Nakagawa Y, Matsubayashi M, Sakaguchi YM, Kobashigawa S, Matsui TK, Nanaura H, Nakanishi M, Kitayoshi F, Kikuchi S, Kajihara A, Tamaki S, Sugie K, Kashino G, Takahashi A, Hasegawa M, Mori E, Kirita T.
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 295(37) ページ: 12946-12961

    • DOI

      10.1074/jbc.RA120.013726

    • 査読あり
  • [学会発表] 口腔がん細胞における選択的ATR阻害による温熱増感効果の検討2021

    • 著者名/発表者名
      伊藤宗一郎、仲川洋介、桐田忠昭
    • 学会等名
      第39回一般社団法人 口腔腫瘍学会総会・学術大会
  • [学会発表] 下顎骨内に発生した神経鞘腫の 1 例2021

    • 著者名/発表者名
      木村健人、仲川洋介、中山洋平、有川 翔、栗原都、下村弘幸、桐田 忠昭
    • 学会等名
      第51回 (公社)日本口腔外科学会 近畿支部学術集会
  • [学会発表] ATR阻害による温熱感受性の増強2020

    • 著者名/発表者名
      仲川 洋介、伊藤 宗一郎、桐田 忠昭、森 英一朗
    • 学会等名
      第22回 菅原・大西記念 癌治療増感シンポジウム in 奈良
  • [学会発表] ATR阻害は5-FUの感受性を増強する2020

    • 著者名/発表者名
      伊藤 宗一郎、仲川 洋介、桐田 忠昭、森 英一朗
    • 学会等名
      第22回 菅原・大西記念 癌治療増感シンポジウム in 奈良
  • [備考] 奈良県立医科大学口腔外科学講座

    • URL

      https://nara-oms.com/

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公開日: 2021-12-27  

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