研究課題
本研究の目的はBisphosphonates (BP)製剤によるMedication-related osteonecrosis of the jaw (MRONJ)治療法の副甲状腺ホルモン(PTH)製剤(テリパラチド:TPTD)の治療効果の有効性とそのメカニズムについて検討・解明をすることである。本研究の結果は、今後のMRONJの治療戦略に大きく貢献することが期待される。すべてのラットにビスホスホネート系製剤の1つであるZoledronate(ZOL)を4週間皮下注射し、ZOL投与後、下顎骨ならびに大腿骨に対してドリリングを行い、歯周病原細菌より抽出したLPS充填し、骨壊死を誘発させた。その後、TPTD群と生理食塩水群の2郡に分けた。TPTD群はTPTD30μg/kgを週に3回、4週の期間、皮下注射し、生理食塩水群は生理食塩水をTPTD群と同じ期間、等量となるよう投与した。安楽死の10日前と3日前に石灰化標識剤のCalcein15㎎/kgを腹腔内投与して安楽死を行い、骨壊死に対する組織学的観察を行った。ヘマトキシリノシン染色にて下顎骨・大腿骨の骨新生と骨壊死面積を評価した。下顎骨・大腿骨ともに、TPTD群は生理食塩水群に比べて有意に骨新生面積は大きく、骨壊死面積は小さかった。また、下顎骨・大腿骨ともにCalceinによる二重標識幅はTPTD群が生理食塩水群に比べて有意に広かった。Villanueba bone染色にて壊死骨に付着する破骨細胞数を評価し、TPTD群は生理食塩水群に比べて有意に破骨細胞数は増加していた。血清RANKLはTPTD群が生理食塩水群に比べて有意に増加していた。今回の研究で、TPTDが骨芽細胞の活動を促進し、それによって血清中のRANKLの発現が増加し、破骨細胞の活性化が促進され、その結果MRONJの改善につながることが示唆された。
すべて 2019
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Journal of Oral and Maxillofacial Surgery, Medicine, and Pathology
巻: 31 ページ: 331-341