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2018 年度 実施状況報告書

口腔扁平上皮癌の細胞接着によるHippo経路活性化に着目した抗浸潤転移療法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 18K17237
研究機関岩手医科大学

研究代表者

齋藤 大嗣  岩手医科大学, 歯学部, 助教 (40805876)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワードHSC-4 / EMT / TGF-β1 / Hippo経路 / Sox9 / cadherin switch / YAP/TAZ
研究実績の概要

口腔扁平癌細胞培養時の細胞密度の低下に伴いE-cadherinのN-cadherinへの変換が起こることや、この接着因子の変換に 伴い細胞の浸潤・転移に深く関わるHippo経路のシグナル調節分子YAP/TAZの活性が制御されることを見出しており、この”cadh erin switch”がHippo経路を負に調節することによりEMT誘導性転写因子の発現が誘導され、口腔扁平癌細胞の浸潤・転移を誘導するものと予測した。
確認方法としてヒト口腔扁平上皮癌細胞として、HSC-4細胞を用いた。cadherin switchに関与する遺伝子とタンパク質は real time qRT-PCRおよびウェスタンブロット法、蛍光免疫染色法により解析した。
TGF-β1刺激で誘導される上皮間葉転換(EMT)において、N-cadherinの発現に関与する転写因子としてSox9を検出した。またSox9の遺伝子ノックダウンによりN-cadherinの発現が抑制されたことから、Sox9はN-cadherinの発現を正に制御することが示された。次に細胞密度変化に伴うSox9の発現変化を調べた結果、細胞密度の低下に伴いSox9発現の上昇が認められるとともに、蛍光免疫染色法によりSox9の核内移行が強く確認された。また、細胞密度低下に伴い、E-cadherinからN-cadherinへのcadherin switchが認められた。さらに、E-cadherin間の結合を阻害する中和抗体を投与したところ、N-cadherinの発現増大が認められた。以上より、Sox9は細胞密度低下に伴い核内移行と発現が上昇しEMTを誘導することが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

①cadherin switchとHippo経路が抑制される最適な細胞密度の条件設定: HSC-4細胞の細胞密度を段階的に低下させ、cadherin switch”とHippo経路が抑制される最適なEMT誘導性細胞密度の条件を見出できた。
②Sox9をHSC-4細胞でノックダウンすることによりHSC-4細胞のN-cadherinの発現が正に制御された。
以上より、研究課題の進捗状況は概ね順調である。

今後の研究の推進方策

E-cadherinによる細胞接着が解除されるとHippo経路を介しYAPが活性化してEMTが誘導されることを予測しているが、この仮説を立証すべく、Hippo経路のシグナル伝達分子であるYAP/TAZの遺伝子ノックダウンにて、N-cadherinからE-cadherinへのcadherin swtchを検証する予定である。

次年度使用額が生じた理由

口腔外科学会への参加を予定していたが、日程的に参加ができなくなったため、その分の参加費および旅費の予算である。次年度での学会参加を予定しいる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] ヒト口腔扁平上皮癌細胞の上皮間葉転換におけるHippo経路の関与2018

    • 著者名/発表者名
      平野大輔、齋藤大嗣、小松祐子、千葉高大、樋野雅文、横田聖司、客本斉子、帖佐直幸、山田浩之、石崎 明、加茂政晴
    • 学会等名
      日本生化学会 東北支部会
  • [学会発表] ヒト口腔扁平上皮癌細胞におけるSox9とHippo経路の上皮間葉転換への関与2018

    • 著者名/発表者名
      平野大輔、武田 啓、齋藤大嗣、柴田敏之、山田浩之、石崎 明、加茂政晴
    • 学会等名
      日本分子生物学会

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公開日: 2019-12-27  

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