研究課題/領域番号 |
18K17250
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
中島 努 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (80804575)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 捕食動作 / 三次元解析 / 口唇圧 |
研究実績の概要 |
摂食機能において口唇閉鎖が重要な役割を担っていることは広く知られており、口唇閉鎖が可能にする口腔の隔離は、顎運動のコントロールや舌運動の発達と一体となり、食物処理や嚥下圧の形成に深く関与する。しかし、小児における口唇機能に関した発達過程は未だ解明すべき点が多く、正常な機能発達の評価と機能障害における病態理解の両側面から、摂食時の口唇機能について解明することは社会的に広く重要な意義がある。この摂食機能の発達過程を明らかにするために小児および成人を対象に自食時の捕食を中心とした摂食運動における口唇機能に関し多角的に解析を行うことで、発達プロセス特の特徴を明らかにし、併せて食品や食具の影響について検討することを目的とし研究を行った。平成29年度の実績として、調査データの収集については、成人、小児ともスプーンを使用した捕食動作を光学式モーションキャプチャシステム(Vicon Motion Systems, Oxford, UK)にて動作の記録を、スプーンに埋入した小型圧センサーから捕食時口唇圧の計測を行った。得られたデータをもとに解析を行い、成人のデータに関しては解析が概ね終了し、スプーンでの捕食時の一口量と食品の違いにより、捕食時口唇圧およびスプーンの挿入角度に関して有意義な結果を得ることができたため、国際シンポジウム International Collaborative Symposium on Development of Human Resources in Practical Oral Health and Treatmentにて発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、小児における摂食機能の発達過程を評価することを目的としている。 データの収集に関しては、予定通り小児と成人のデータが蓄積されており、基準となりうる成人の捕食時口唇圧、動作解析が進んでいる。成人での得られた知見から論文を作成予定であり、小児のデータに関しても解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までの研究から、成人ではスプーンでの捕食において一口量や食品の違いに応じて捕食時口唇圧や捕食動作を変化させていることが明らかとなった。小児のデータに関しても収集が進んでいるが、発達過程の評価には各年齢層においてさらなる被検者が必要となったことから、データの収集を行うとともに小児の摂食機能の発達過程を評価することを目的に研究を推進していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
小児のデータ解析の被験者数を当初の予定より、増加する必要が生じたことから、計測用の圧センサーの追加購入が必要になったこと、また収集するデータが増えるため、解析には人件費が必要になることが予想される。 また、収集したデータからは有用な結果を得られたことから当初の予定より多くの学会発表、論文投稿が見込めるため、次年度使用額として翌年度分に助成金を申請した。
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