本研究では、口腔検体およびラットモデルにおいて、ピロリ菌の母子伝播の可能性の検討および口腔-胃連関動物モデルの構築を試みた。その結果、母子両方からの口腔検体でピロリ菌の存在を確認できたペアが存在し、母子感染の可能性が示唆された。また、ラット齲蝕モデルに対してピロリ菌を感染させることにより、口腔からのピロリ菌の検出および胃粘膜へのピロリ菌の侵入、胃・十二指腸組織への傷害が確認できる口腔-胃連関動物モデルの構築に成功した。本動物モデルを用いて検討を行った結果、齲蝕の存在がピロリ菌が口腔へ定着するためのリスク因子となるとともに、胃・十二指腸傷害へも影響を及ぼす可能性が示唆された。
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