GSK-3βの阻害剤を用いて、ラットの矯正治療動物実験モデルで、歯の移動と歯根吸収への影響を調べた。ラット(n = 32)に毎日腹腔内投与した。矯正装置を装着して歯を動かした。14日にμCTを撮影した後、歯根標本を作製した。μCTで歯の移動を測定すると歯の移動が阻害剤の濃度依存的に抑制された。しかしながら、同時に歯の移動様式に違いを認めた。すなわち、歯根がより大きく動き、歯体移動に近くなる歯の移動を観察した。一方、歯根吸収は阻害剤の濃度に依存して顕著に抑制され、歯根吸収の抑制に対してより強く作用した。骨形態計測において、阻害剤投与群において皮質骨の増大がみられ、歯根吸収との負の相関を認めた。
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