研究課題/領域番号 |
18K17267
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
藤田 茉衣子 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 助教 (20784797)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 覆髄剤 / 歯根未完成 / 被蓋硬組織 |
研究実績の概要 |
臨床において根未完成歯の偶発的露髄を来した場合、直接覆髄法を行うことは多い。良好な予後を得るためには、露髄面に被蓋硬組織の形成を促し、正常な歯根完成を期待すべきである。現在使用されている覆髄材は、主に水酸化カルシウム製剤であるが、イオン徐放性を特徴としたPRGフィラー含有材料(PRGセメント)が着目されている。過去に我々はPRGセメントがヒト乳歯歯髄由来細胞に対し増殖促進的な効果、さらに象牙芽細胞様細胞分化を促進することを明らかにした。今回我々は、PRGセメントの硬組織誘導能を検討することを目的として、イヌ歯根未完成歯にPRGセメントを用いて生活歯髄切断法を行い、従来用いられている覆髄材と被蓋硬組織の形成量を比較した。生後24週齢のビーグル犬2匹(雄,約6kg,同腹仔)を実験に供した。左右下顎骨の歯牙にタービンでエナメル質を除去後、生理食塩液注水下で滅菌ラウンドバーにて歯髄腔へ穿孔し露髄させた。露髄面の止血を確認後、それぞれPRGセメント、水酸化カルシウム、コントロール(水硬性セメント)を用いて直接覆髄法を施し、コンポジットレジンにて充填した。処置前、処置後、処置14日後、標本採取時(に、経時的変化を観察するためエックス線画像の撮影を行った。術後24日目に標本を採取し、マイクロCT撮影を行った。被蓋硬組織の形成量はImageJを用いて計測し、統計処理を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響により、研究活動の制限が余儀なくされた。実験を行うことはできたが、当初の計画よりやや遅延が起きてしまった。更なる研究を行うために、研究期間の延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
採取した下顎骨はさらに川本法により非脱灰凍結組織連続切片を作製し、骨形態計測法を用いて、テトラサイクリンとカルセインでラベルされたダブルラベルの距離を求め、MAR (mineral apposition rate)を算出、硬組織新生のパラメータとして形態学的に解析する。さらに分化のマーカーとなる骨形成因子、I型コラーゲン、オステオカルシン、象牙質シアロリンタンパク質などに対する抗体を用いて染色を行い、A蛍光顕微鏡で分化に伴うマトリックスの変化を観察する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
採取した下顎骨をさらに川本法により非脱灰凍結組織連続切片を作製し、骨形態計測法を用いて、テトラサイクリンとカルセインで5日おきにラベルされたダブルラベルの距離を求め、MAR (mineral apposition rate)を算出、硬組織新生のパラメータとして形態学的に解析する。さらに分化のマーカーとなる骨形成因子、I型コラーゲン、オステオカルシン、象牙質シアロリンタンパク質などに対する抗体を用いて染色を行い蛍光顕微鏡で分化に伴うマトリックスの変化を観察する。以上の実験を行うために、試薬や実験器具が必要となってくるため。
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