本研究では、ネグレクトをモデル化した、乳児期に雌親ラットとの接触時間を制限した母子分離モデルラットを作製した。モデルラットでは口腔顔面領域での疼痛感覚の変化が認められ、ストレスホルモンの血中濃度が有意に上昇していた。乳児期にコルチコステロンを毎日投与されたラットでは、口腔顔面領域での疼痛感覚の変化が認められた。さらにモデルラットにおいて、神経周囲細胞であるミクログリアの活性抑制剤として知られるミノサイクリンを投与したところ、口腔顔面領域での疼痛閾値の有意な上昇が認められた。以上の結果より、幼児期のストレスが感覚神経節でのミクログリアに作用し異常疼痛を発症させることが示唆された。
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