研究課題
実験計画に従って、骨芽細胞、破骨細胞のみならず、歯槽骨の大部分を占める骨細胞にβ-アドレナリン受容体(AR)が発現していることを確認した。その後、交感神経の活動が亢進している高血圧自然発症ラット(SHR)に非選択的β-AR遮断薬(プロプラノロール)、β1-AR遮断薬(アテノロール)、β2-AR遮断薬(ブトキサミン)を経口投与し、上顎門歯と上顎右側臼歯の間にコイルスプリングを装着し、4週間、上顎右側臼歯の牽引を行った。その結果、アテノロール、ブトキサミン、プロプラノロールは、歯の移動を抑制し、歯槽骨量を増加させた。また、アテノロール、ブトキサミン、プロプラノロールは、圧迫側の破骨細胞数および破骨細胞面を減少させ、骨細胞から産生されるSOSTおよびRANKLを減少させた。SHRにおける歯の移動実験において、β-AR遮断薬は歯の移動距離を減少させ、歯槽骨量の減少を予防すること、また、β-AR遮断薬は骨細胞から産生されるSOSTとRANKLを減らすという新しい経路によって歯槽骨代謝を調整する可能性が示された。以上の内容について論文投稿を行い、受理された。また、歯周病モデルラットを作製し、β-AR遮断薬の歯周病に対する効果を検討した。SHRを用いた歯周病ラットにブトキサミンを投与した結果、歯槽骨の骨吸収が抑制され、歯槽骨量の減少が抑制された。このブトキサミンの歯周病予防効果の内容について論文投稿を行い、受理された。
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Life Sciences
巻: - ページ: -
Oral Diseases
巻: 26 ページ: 621-629
10.1111/odi.13280