研究課題/領域番号 |
18K17274
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
河合 咲希 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (70707067)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 乳歯 / 歯髄 / 低酸素 |
研究実績の概要 |
これまでの研究において、低酸素培養が乳歯歯髄由来細胞における脂肪細胞への分化を誘導することが確認できたことから、本研究では引き続いて骨芽細胞への分化能を検討した。 細胞増殖能はMTSassayにて行った。96 well plateに細胞を播種し、1~5日間低酸素培養を行い、MTS試薬を添加、1時間後マイクロプレートリーダーにて460nm、690nmの吸光度を測定した。骨芽細胞誘導については、6well plateに細胞を播種し2日後から骨芽細胞分化誘導培地(R&D)にて分化を開始し、21日間分化誘導した。培地は2~3日毎に交換した。2日間低酸素培養後通常培養行った群(HN)、そのまま21日間低酸素培養下で分化を行った群(HH)、細胞の播種から通常培養を行った群(NN)について細胞形態の観察および骨芽細胞分化マーカーであるALP発現を定量した。 細胞増殖能への影響について、96wellplateにて5日間培養した乳歯歯髄由来細胞において、通常培養下と低酸素培養下において増殖能に差はみられなかった。細胞形態について、通常酸素および低酸素培養2日後の細胞形態に変化はなく、骨芽細胞分化14日、21日後の細胞形態にも変化はみられなかった。アルカリフォスファターゼ発現について、NNと比較して、HHは有意にALP発現が減少していた。HNに関しては、14 日間分化においては増加がみられたが、有意な差はなくALP発現は通常培養下と同様に見られた。 これまでの研究により、酸素濃度2%の低酸素培養において、ヒト乳歯歯髄由来細胞の脂肪細胞分化は増強されることを明らかにしたが、骨芽細胞分化において低酸素培養は有意な影響を与えなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までは進捗状況は順調であるが、さらなる検討条件を考えていく必要が出てきたためこれからも順調に進めていけるように努力する。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究により、酸素濃度2%の低酸素培養において、ヒト乳歯歯髄由来細胞の脂肪細胞分化は増強されることを明らかにしたが、今回の研究では骨芽細胞分化において低酸素培養は有意な影響を与えなかった。幹細胞に適した生理的酸素分圧は1~2%といわれているが、本研究においては骨芽細胞分化の際に低酸素培養を行った細胞の有意な分化能の低下がみられたこと、2日間の低酸素刺激では有意な分化能の増強が認められなかったことより、長期の低酸素状態は分化能増強には不要だと考える。しかし、7日間低酸素培養下において脂肪細胞分化においては有意な分化能の増強を認めたことを考えると培養条件のさらなる検討をする必要がある。 今後は低酸素状態以外の培養条件も検討していく予定である。
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