研究課題
若手研究
これまで20症例の動脈瘤サンプルが得られ、13症例で細菌の分離培養に成功した。現れたコロニーから細菌のDNAを抽出し、16S rRNAの領域を全長増幅してDNAシークエンスにて菌名を同定した。その結果、大動脈瘤およびその他大動脈疾患から歯周病菌は検出されず、体表や口腔の常在菌であるstaphylococcus属やPropionibacterium acnesの検出率が高かった。さらにPCR法にて動脈瘤内に存在する細菌DNAを増幅する系を確立し、培養法とPCR法では検出能が異なることを示した。
口腔衛生学
本研究では動脈瘤壁から培養法にて検出された菌とPCR法にて検出された菌の検出能の違いを示すことで、生きた細菌が動脈瘤壁に存在する可能性を示した。培養法でのみ検出された菌は動脈瘤内の存在自体が極めて少ないためPCR法では検出できなかったこと、およびPCR法でのみ検出された菌は動脈瘤内では死んでおり細菌DNAのみ残留していたと考えられる。このことは、これまでPCR法では検出されなかった菌が動脈瘤の発生や進行に関与している可能性を示している。