研究課題
本研究は岩手県久慈市広域在住の高齢者を対象とし、高齢者の介護状態と口腔機能・運動機能の関係性の分析を行い、介護予防に対する効果的な介入方法を検討することを目的としている。具体的な介入方法の検討の前に、分析対象の集団特性を把握する必要があるため、2018年度は6月、9月、12月、2月の合計4回の口腔機能・全身運動機能測定会を開催し、データ採取を行った。各回につき約70人が対象者として参加した。具体的に測定した口腔機能の項目は口腔内細菌数、舌圧、咬合力、咀嚼能力、舌口唇緻性、嚥下機能、口腔内湿潤度であり、全身運動機能は身長、体重、骨密度、立ち上がり速度、開眼片足立ち時間、10m歩行速度、ファンクショナルリーチである。この測定会で得られたデータを使用し、横断研究を行ったが、口腔機能と全身運動機能、介護度の間に相関性の高い指標をまだ見つけることができていない。この原因として、全身既往歴等の交絡因子の情報入手がまだ完全に終了していないことも一つに挙げられる。特に、栄養状態の評価をまだ加えることができていない。栄養状態は口腔機能と全身運動機能をつなぐ重要な要素であると考えられ、管理栄養士と相談し、血中アルブミン量の測定により把握することを考えている。今年度の第一段階の目標は、検診対象者を増やすこと、栄養評価を含めた全身既往歴のデータを入手することである。その後、介入群と対象群に群分けを行い、各個人にあった栄養・全身運動機能・口腔機能向上の複合プログラムの提示を行う。
2: おおむね順調に進展している
研究実績の概要に記載した通り、全身既往歴のデータ以外の口腔機能・全身運動機能・介護度などは十分なデータ採取が可能である。全身既往歴のデータを入手するため、管理栄養士やデイサービスのスタッフとの打ち合わせは済ませており、現在もデータ収集は進行している。
本研究では検診対象者を増やすことが重要である。この点に関しては、最終決定はされていないが、久慈市市役所の介護福祉課と連携し、市内住民に幅広く測定会参加を呼び掛ける予定である。また、参加者の栄養状態を血中アルブミン量で評価を行うことが決定している。サンプル数を増やし、栄養等の全身状態のデータを加え、再度口腔機能と全身運動機能、介護度の関係性を分析することを今年度の第一目標とする。その後、対象群と介入群に群分けし、各個人にあった栄養・全身運動機能・口腔機能向上の複合プログラムの提示と実践を行う。適宜栄養状態、全身運動機能、口腔機能向上のデータ採取を行い、2019年度後半および2020年度にかけて介入による介護度の変化を分析していく。
検診時に使用する消耗品の購入が予定よりもわずかに少なかった。しかし11,600円であり、2019年度の検診時消耗品購入時に、咀嚼能力測定用グミ2箱程度で使用する予定である。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
BMC Oral Health
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10.1186/s12903-018-0602-7.
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10.2147/IJN.S175536. eCollection 2018.