研究課題/領域番号 |
18K17280
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
泉井 秀介 大阪大学, 歯学研究科, 招へい教員 (00806052)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | クルクミン / 歯周病 / Porphyromonas gingivalis / 外膜小胞 |
研究実績の概要 |
ウコンの抽出物であるクルクミンが、Porphyromonas gingivalis外膜小胞の細胞毒性作用からヒト歯肉上皮細胞(HGE)を保護するかを調べた。外膜小胞(OMVs)はPorphyromonas gingivalis OMZ314をTSB培地を嫌気条件下で培養し、0.22μmのフィルターでろ過後、100,000xg、60分間、4度で遠心分離、BCA protein assay kitで濃度を調整、ヒト歯肉上皮(HGE)細胞を刺激するために使用した。炎症性サイトカインの発現はリアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法と酵素結合免疫吸着検査法で調べた。また遊走能に対する効果はスクラッチ創傷法で検討した。さらにHGEとOMVsを共培養し、OMVsの付着や侵入への効果は共焦点顕微鏡を用いた。クルクミンのHGEアポトーシスに対する効果も共焦点顕微鏡を用いて調べた。 OMVで刺激したHGE細胞におけるIL-6、IL-1β、TNF-αの遺伝子発現は、クルクミンによって用量依存的に有意に抑制され、タンパク質産生の抑制も認められた。さらに、クルクミンは、OMVの細胞移動に対する細胞毒性作用を抑制した。またクルクミンは、用量依存的にOMVの細胞への付着と侵入、および細胞のアポトーシス死を抑制した。これらの結果はクルクミンが、P. gingivalis 外膜小胞の細胞障害作用に対して顕著な抑制効果を示し、歯周病予防の可能性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
クルクミンは用量依存的にIL-6、IL-1β、TNF-αの遺伝子発現を抑制し、タンパク質産生も抑制された。さらにクルクミンは、OMVの細胞毒性作用を阻害した。最後に、クルクミンは、OMVの細胞への接着と侵入、および細胞のアポトーシス死を用量依存的に阻害した。
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今後の研究の推進方策 |
クルクミンを用いて口腔の2大疾患である歯周病に関しては一定の臨床効果を示すことが分かった。進行した歯周病患者に多い根面う蝕に対しての効果は調査中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で予定していた学会発表が無くなったため次年度使用額が生じた。次年度はweb開催の学会においても発表することを予定している。
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