研究課題/領域番号 |
18K17285
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
尾田 友紀 広島大学, 病院(歯), 病院助教 (40641949)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | プロバイティクス / 知的能力障害 / L8020菌 |
研究実績の概要 |
Lactobacillus rhamnosus KO3株(以下L8020菌)は歯周病原因菌に対して抗菌効果があることが報告されているが、L8020菌が歯周病に及ぼす臨床的効果や口腔内フローラに対する影響については未だ不明である。本研究では、L8020菌を知的障害者に継続摂取させ、臨床的効果を明らかにする。また、口腔内フローラの変化を調べ臨床効果と比較し、歯周病リスクの軽減をめざす。研究方法は、[実験1:最終被験者の決定][実験2:摂取・歯周病検査・歯垢採取][実験3:RT-PCR法分析][実験4:メタゲノム解析]である。現在、実験1,2,3については分析まで終了し、L8020菌が歯周病に及ぼす臨床的効果が明らかになった。23名の重度知的能力障害(IQ36-50)を有する者を、L8020菌摂取群(L8020)とプラセボ摂取群(Cont)に分け、90日間摂取させた。歯周病検査として、PMA Index(PMA)・Gingival Index・Pockets Depthを摂取前・摂取中2回・摂取後の計4回、二重盲検法で調べた。結果として、PMAでは、Contと比較しL8020では摂取開始90日後に有意に減少した(各P=0.010)。また、GIとPDでは、Contと比較しL8020では摂取開始90日後に大きな減少がみられた(各P=0.050、P=0.167)。上記の研究内容は、Journal of Applied Oral Scienceにアクセプトされ、in pressの状態である。また成果発表としては、研究の進行に従い内容を更新しながら、第24回国際障害者歯科学会(ドバイ)、第35回日本障害者歯科学会(中野)、第8回補綴若手研究会(鹿児島)、第1回アジア障害者歯科学会(高雄)にて発表しており、特に日本障害者歯科学会では学術大会優秀発表賞を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究方法は、[実験1:最終被験者の決定][実験2:摂取・歯周病検査・歯垢採取][実験3:RT-PCR法分析][実験4:メタゲノム解析]である。現在、実験1,2,3については分析まで終了し、L8020菌が歯周病に及ぼす臨床的効果が明らかになった。実験4についてもメタゲノム解析は終了しており現在解析中である。解析は主に歯周病原因菌であるP.g.菌、P.i.菌、T.f.菌、T.d.菌については終了しつつある。口腔内細菌のうちL8020菌に優位に影響を受けたもので病原性のあるものがどれぐらい存在するか検討してるところである。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、まず[実験4:メタゲノム解析]について解析まで終了し分析を終える。その後論文として成果を発表する。あと半年程度で解析は終了すると思われるので、その後一年程度かけて論文を完成させる予定である。Journal of Applied Oral Scienceには“Effect of bovine milk fermented with Lactobacillus rhamnosus L8020 on periodontal disease in individuals with intellectual disability: a randomized clinical trial”との表題で、L8020菌の歯周病臨床指標に及ぼす影響について載せることができたが、ついではL8020菌が口腔内フローラや歯周病原因菌の菌保有率に及ぼす影響について、ゲノム解析の結果を論文で発表していきたい。 また、随時、国内外の障害者歯科学会や老年歯科学会でも成果を発表していく予定である。
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